2023 Fiscal Year Annual Research Report
疾患解明アプローチによる筋・骨組織の機能回復を目指した腱組織再生の分子基盤解析
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21H03137
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
依田 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60242210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
尾崎 心 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 副チームリーダー (10754765)
儀武 啓幸 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40376752)
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (60406494)
佐久間 朋美 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (70633733)
岡崎 敦子 (今井敦子) 順天堂大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70761691)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 咀嚼筋腱・腱膜過形成症 / 全ゲノムシークエンス / 側頭筋腱 / 咬筋腱膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者10名と患者の6家族から得た血液検体または唾液検体について、シークエンス後、DNAの配列を並べ替え(Mapping)、参照配列との不一致を検出し(Variant call)、検出したバリアントに関して情報の付加(Annotation)を行い、疾患原因遺伝子の抽出を行った。その結果、患者に9から599遺伝子の変異が認められ、患者が複数いる家系2(患者2と患者母)には80遺伝子(81バリアント)、家系6(患者6と患者姉)では130遺伝子(133バリアント)、家系9(患者9と患者姉)では47遺伝子(47バリアント)が抽出された。 また、ブタ側頭筋腱とアキレス腱のトランスクリプトーム解析 (RNA-seq)により、fold change≧2,p-value≦0.05の条件に当てはまる遺伝子を抽出し、ヒトと共通した遺伝子として476遺伝子が抽出された。 WGSで抽出した遺伝子のうち、51遺伝子がブタ側頭筋腱で高発現していることが判明し、OMIMデータベースで疾患との関連が未報告であった遺伝子は37遺伝子、その内PCDH1とBAIAP3の2遺伝子は家系間で重複があることが判明した。PCDH1はプロトカドヘリン1をコードしている遺伝子でプロトカドヘリンの遺伝子ファミリーの一種である。プロトカドヘリンの遺伝子ファミリーには筋肉や腱の形成に関与している遺伝子が含まれている。 BAIAP3は家系4の罹患者と家系10の罹患者に認められた。BAIAP3と腱との関係性についてはまだ報告されていないが、今後サンプルサイズを大きくしていくことで関係が明らかになってくる可能性がある。 家系間重複のなかった35遺伝子の中にも腱の発生及びリモデリングに関連のある遺伝子も含まれており、疾患の発症や進行に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
患者の承諾取得等に難儀したが、おおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
咀嚼筋腱・腱膜過形成症患者の全ゲノムシークエンスをさらに増やすことで、原因遺伝子を絞り込んでいく。また、ブタではなくヒト腱組織検体でのRNA-seqを追加する予定である。
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