2022 Fiscal Year Annual Research Report
Scale Development on Perception of Academic Bullying among Graduate Students and Faculty Members in Life Sciences and Engineering Departments
Project/Area Number |
21H03171
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
山崎 由花 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80579293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 仁美 岡山大学, 大学病院, 教授 (20420490)
野原 理子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30266811)
苅田 香苗 杏林大学, 医学部, 教授 (40224711)
北野 尚美 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40316097)
野村 恭子 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40365987)
小塩 真司 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60343654)
清水 郁夫 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (60716231)
大久保 由美子 帝京大学, 医学部, 教授 (80287317)
平間 雅博 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (80346460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パワー・ハラスメント / アカデミック・ハラスメント / ハラスメント行為者心理 / 理系学部 / ハラスメント可能性測定尺度 / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、理系学部(医歯薬、理/理工/工、農学部等)の研究環境で、パワハラ・アカハラを行う人物のリスク度を測定する理系アカデミアのパワハラ・アカハラ可能性測定尺度を開発し、その因子構造、信頼性、妥当性を確認した。
まず、2021年度に開発したパワハラ・アカハラ行為者の態度、価値観、感情、思考への同意を問う5件法の質問票(141項目)を使い、Web調査会社(A又はB)の登録者である理系学部の大学院生と教員を対象に計3回調査を行った。1回目は、Aの67名が回答し、回答が特定の選択肢に偏っていないことが確認された。2回目は、会社Bの500名が今回の質問票、既存のアカハラ尺度、ジェンダー・ハラスメント測定尺度に回答した。3回目は、2回目の回答者のうち60名が再度、今回開発した質問票に回答した。
因子構造は、2回目の調査データを使い探索的因子分析(最尤法、Promax回転)を行い確認した。具体的には、分析を行うごとに、因子負荷量が低い項目を分析から除外し、最終的に75項目からなる構造を得た。上位に3つのDomain因子(自己中心的態度,情緒制御困難性,職業的固定観念)と下位に8つのFacet因子(優越感,他者軽視,過剰統制,自己本位性,衝動性,不安定性,競争主義,エイジズム)が見出された。このモデルについて確認的因子分析を行ったところ、適合度指標も高く、モデルはデータに適合していると判断した。信頼性を表すα係数は、「競争主義」、「エイジズム」は.70台、他の因子は.80以上で、再検査信頼性に関しては、全ての因子の相関係数が.60以上(p < .01)であり、高い信頼性が確認できた。さらに、構成概念妥当性については、上記アカハラ尺度の「研究に関する不正行為の強要および業績の強奪」と今回の尺度の「自己本位性」の相関が強く(|r|=.41, p < .01)、収束的妥当性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、さらなる基準関連妥当性を検証する調査まで、つまり、開発した尺度で実際の人物のハラスメントリスク度を測定し、現実の指標(対象者の行動や結果)との関連を調べるところまでを目指していた。しかし、尺度を開発したところで終わり、さらなる調査を始めることができなかった。その主な理由は、尺度を開発するためのWeb調査について、倫理審査委員会からの承認を得ることに予測していたよりも時間がかかり、次なる調査を計画し、実行する時間的余裕がなかったことである。他の理由は、次なる調査は、実際、ハラスメントを行うリスクがある人物の行動を表す指標、そして、ハラスメントを行うことにより、起きる結果、つまり、部下や研究室に与える影響を表す指標を設定するための先行研究のレビューに時間がかかることである。最後に、次なる調査では、講座単位で調査協力の同意を得る必要もあるため(例えば、研究室の教授が尺度の質問項目に回答し、部下が心理状態や休職の回数などに回答する)、調査協力の同意を得る方法についても熟考しなければならないことである。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した理系アカデミアのパワハラ・アカハラ可能性測定尺度については、現在、国際雑誌への投稿をめざして、論文執筆中である。さらに、2023年7月の第55回日本医学教育学会大会で発表し、9月に研究代表者が所属機関で行うハラスメントについてのFaculty Development(FD)で、指導者に自らの教育や指導を振り返ってもらう際の資料として利用する予定である。
次なる、基準関連妥当性の検証、つまり、開発した尺度で実際の人物のハラスメントリスク度を測定し、現実の指標(対象者の行動や結果)との関連を調べる研究を4つのPhaseで進めていく。Phase1では、ハラスメント行為者の行動を表す指標(例:指導について他者から注意された回数等)とハラスメント行為の結果を表す指標(例:研究室の離職者数、精神的な問題で休職中の学生の数、部下側のストレス等)を収集する。Phase2では、収集した資料を基に、行為者側が答える質問票(行動を表す指標を含む)と、その部下が回答する質問票(結果を表す指標を含む)を開発する。Phase3では代表者と分担者の各施設で倫理審査委員会の承認を得た後、各施設で質問票調査を行う。
想定している調査の流れは、各施設で、調査の協力が得られる研究室(教授、部下、大学院生)をリクルートし、教授が開発した尺度と行動を尋ねる質問票に回答し、部下と大学院生が教授の言動の結果を尋ねる質問票に回答する。代表者と分担者は所属する施設で、対象者に研究の趣旨を説明し、同意を得た後、回答者のプライバシーに配慮し、質問票の配布、回収は調査会社に委託する可能性がある。Phase4で、教授の尺度への回答得点と、部下や大学院生の質問票への回答得点の相関係数を算出し、基準関連妥当性を検討する。
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