2022 Fiscal Year Annual Research Report
禁酒継続に向け医療者ー患者双方向を支援するデジタルヘルス環境の構築
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21H03175
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山敷 宣代 関西医科大学, 医学部, 講師 (90420215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沼 誠 関西医科大学, 医学部, 教授 (00265810)
村田 美樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10533416)
池田 俊一郎 関西医科大学, 医学部, 講師 (40772231)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルコール性肝障害 / アルコール使用障害 / eHealth / スマートフォンアプリ / 医療言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年肝硬変、肝細胞癌の原因として増加しているアルコール性肝疾患(Alcoholic liver disease; ALD)では、治療の首座をなす禁酒指導、依存症治療、効果判定には多職種の介入や診療のスキルを要し、意欲維持は患者の主体性に依存している。 本研究では、禁酒・節酒行動を支援するアプリの実証実験と開発を通じ、1) 動機づけとモニタリングのための指標の可視化、2) 禁酒アプリを用いた介入の有効性評価、3) テキスト言語処理を用いた身体症状評価を主目的としている。副次的目標として 4)入力テキストの医療言語解析によるリスク予測を予定している。 初年度は研究の方向性を確認するための後ろ向き観察研究を行いながら、前向き介入研究の準備を行い、初年度中に研究開始となった。次年度までに症例リクルートは進み、アプリの臨床研究使用およびバイオマーカー測定を実施し、早期結果を集積することができた。今後は早期の結果をふまえて改良を重ね、実臨床で患者モチベーション維持や医療者負担軽減軽減に繋がるようなアプリの実装を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)動機づけとモニタリングのための指標の可視化:過去の診療録を用いた観察研究では対象年度を広げ調査を行い飲酒行動の改善が予後改善にも寄与することを確認した。また血液検査データも含め調査し、予後と関連する血液検査指標について検討を継続した。前向き研究では、飲酒行動と一般血液検査データとの関連性を検討し、結果の一部を学会報告した。 2) 禁酒アプリを用いた介入の有効性評価:令和3年度から開始したアプリを用いた前向き臨床研究では、アプリ使用率、断酒率について調査し、禁酒アプリ介入において飲酒量の低減および臨床検査データの改善効果をある程度確認できた。結果について論文投稿中である。 3) テキスト言語処理を用いた身体症状評価:前年までの自由記載日記に加え、症状を表したスタンプ入力など、簡便な入力方法を取り入れ、アプリの使用感を高める開発を実施した。日記記載の多い症状と飲酒行動との関連性、肝機能変化との関連性につきデータ蓄積に努めた。 4)入力テキストの医療言語解析によるリスク予測については、初年度から登録症例数は増加したものの、日記記載する症例が限られており、多数例から解析し機械学習するには至らない。そのため今年度は、精神科分野では、健康関連QOL(HRQOL: Health Related Quality of Life)の指標であるSF-36質問表を測定し、飲酒行動が本人のQOLに及ぼす影響を解析している。また、禁酒アプリを用いた介入前後のSF-36指標の変化を調査している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)動機づけとモニタリングのための指標の可視化:これまでに、禁酒治療介入開始前後の血液検査データやバイオマーカーの推移データを蓄積し、飲酒行動といくつかのバイオマーカーには相関性が見いだされた。次年度以降は検査データや臨床指標の中で実際のモニタリングと指導に有用な指標の絞り込みを行う。研究協力施設と連携し、バイオマーカーの有用性について指針をまとめる。 2) 禁酒アプリを用いた介入の有効性評価:次年度からは医療者側への負担軽減についても検討したい。実臨床医を対象に、アプリを使用した診療における負担感、使用感、簡便性や問題点について調査する予定である。 3) テキスト言語処理を用いた身体症状評価:身体症状の日記入力およびスタンプ使用について、飲酒行動との関連性、肝機能変化との関連性につき解析を行う。日記アプリの入力内容の自動要約を試みる。医療者が患者の入力内容を短時間にひと目で判読できるような要約を目指す。 4) 入力テキストの医療言語解析によるリスク予測については、今後、再飲酒のリスク評価や様々な再飲酒の要因の解析をし、アルコール依存症のクラスターの作成を予定している。そして、クラスターごとの最適な介入方法の模索をしていく。
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Research Products
(3 results)