2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of cellular factors for pandemic based on the enzymatic properties of pandemic influenza virus
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21H03183
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
高橋 忠伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (20405145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 潔 広島国際大学, 薬学部, 教授 (40168125)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ノイラミニダーゼ / シアリダーゼ / 酵素 / インフルエンザウイルス / 流行 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトのA型インフルエンザウイルスは数十年に一度、新型(新抗原性)インフルエンザによる世界大流行(パンデミック)を起こす。インフルエンザウイルスの表面酵素ノイラミニダーゼ(NA)の酵素性状の一つである酸性安定性は、季節性ウイルスではほぼ見られず、過去のパンデミックを起こしたすべてのウイルスに見られる特有の酵素性状である。この酵素性状は培養細胞レベルでウイルス増殖を促進させることから、当時のパンデミック発生に貢献する一要因の可能性が考えられた。本研究では、NAの酸性安定性に基づく細胞レベルのウイルス増殖促進機構を解析し、パンデミック発生に貢献する宿主細胞側の要因を解明する。この細胞レベルの機構を自然界のパンデミックウイルスで確認し、NAの酸性安定性やこの酵素性状を介した機構がパンデミックの一要因である可能性を検証する。NAの酵素性状やこの性状を介した機構は、パンデミックを予測する指標に利用できるものと期待される。 NAのみにおける細胞への影響を解析するため、NAのタンパク質発現・精製系の確立をめざした。バキュロウイルス-タンパク質発現システムを利用して、1968年にパンデミックを起こしたホンコンインフルエンザウイルス株のN2型NAの分泌型タンパク質の大量発現系を確立した。これに2個のアミノ酸置換を導入して、酸性安定性を低下させたN2型NAの大量発現系も確立した。精製した2個のNAのシアリダーゼ活性において、酸性安定性の性状に違いがあることを確認した。NAの本来の構造はホモ四量体である。しかし、生産したNAは単量体や二量体が多く見られた。そこで四量体化シグナル配列を付加した。生産したNAの大部分が四量体を形成し、高いシアリダーゼ活性を示した。また、最小単位のアミノ酸置換により酸性安定性を改変したNA遺伝子を持つインフルエンザウイルスを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バキュロウイルス-タンパク質発現システムを利用して、シアリダーゼ活性を有しているNAの分泌型タンパク質を大量に生産できるようになった。また、アフィニティーカラムでNAを精製する方法も確立した。このNAは本来のホモ四量体構造を形成していなかったことから、四量体化シグナル配列を付加することで四量体化形成を促進させることができた。酸性安定性を変化させる最小単位のアミノ酸置換を導入することで、酸性安定性の異なるNAを大量に生産できるようになった。また、同NA遺伝子を有する遺伝子組換えインフルエンザウイルスを作製した。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザウイルスはエンドサイトーシス過程を介して細胞内へ取り込まれる。一方、バキュロウイルス-タンパク質発現システムで生産したNAはそのままでは細胞内へ取り込まれない。そのため、NAにエンドサイトーシスシグナル配列を付加する。最終的には、四量体化シグナル配列とエンドサイトーシスシグナル配列の両方を付加したNAを生産し、その酵素性状や細胞への取込みを確認する。酸性安定性の異なるNAを細胞に取り込ませて、細胞における影響の差を解析することで、NAのみを介した機構を解明する。 酸性安定性の異なるNA遺伝子を持つインフルエンザウイルスを作製し、そのウイルス間で細胞への影響の差を解析することで、感染細胞におけるウイルス増殖促進機構を解明する。 分担者に蛍光イメージング剤を合成していただき、細胞内NAのシアリダーゼ活性の局在を解析する蛍光イメージング法を開発する。酸性安定性は細胞内のエンドサイトーシス過程のシアリダーゼ活性に影響していると予想されるため、酸性安定性の異なるNAを持つウイルスあるいはバキュロウイルス-タンパク質発現システムで生産したNAの細胞内でのシアリダーゼ活性の局在や持続時間を比較する。細胞内のシアリダーゼ活性の位置や時間と細胞内の分子機構との関連が明らかになることが期待される。
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Remarks |
研究協力者の受賞 紅林佑希:日本薬学会東海支部2021年度学術奨励賞、林 泉樹:日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2021 ベストプレゼン賞、天野滉基:日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会2021 ベストプレゼン賞、天野滉基:2021年度糖鎖科学中部拠点奨励賞
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[Journal Article] Enhancement of elastin expression by transdermal administration of sialidase isozyme Neu22021
Author(s)
Akira Minami, Yuka Fujita, Jun Goto, Ayano Iuchi, Kosei Fujita, Yasuyo Mikami, Mako Shiratori, Ami Ishii, Samir Mitragotri, Yasunori Iwao, Hiroaki Kanazawa, Yuuki Kurebayashi, Tadanobu Takahashi, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Takashi Suzuki
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Journal Title
Sci. Rep.
Volume: 11
Pages: 3302
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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