2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of mechanism of DNA methylation changes in next-generation sperm genome induced by gestational arsenic exposure
Project/Area Number |
21H03190
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
鈴木 武博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (60425494)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒ素 / 妊娠期曝露 / DNAメチル化 / 生殖細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、妊娠期ヒ素曝露がどの世代まで精子DNAのメチル化に影響を及ぼすのかを検討するために、妊娠8日~18日に85 ppmの亜ヒ酸ナトリウム (NaAsO2) を飲水投与したC3Hマウス (ヒ素群) 及び対照群から得た仔世代 (F1)、孫世代 (F2)、ひ孫世代(F3)の精子DNAを用いて網羅的DNAメチル化解析をおこなった。各世代の精子DNA からRRBSライブラリを作成し、次世代シークエンスによりシークエンスデータを得た。続いて、Bismarkによりmm10にマッピングし、methylKitでメチル化率を算出した。アノテーションの付与はHomerでおこなった。その結果、対照群と比較してヒ素群で10%以上メチル化が増加または減少したシトシンに着目すると、F1ではヒ素群でメチル化が減少したシトシンが多く、F2とF3ではヒ素群でメチル化が増加したシトシンが多いことがわかった。また、ゲノム領域ごとのメチル化変化したシトシンの出現頻度は、F1とF2ではエクソン、LTR、LINEの領域で増加し、F3では、エクソン、LTR、LINEに加えて遺伝子プロモーター領域においても増加することがわかった。これらのことから、妊娠期のヒ素曝露は、仔世代の精子DNAのみならず、孫世代、ひ孫世代の精子DNAまで影響を与えることが示唆された。また、前精原細胞の単離条件については、妊娠18日目のマウス胎児精巣を用いて検討を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、妊娠8日~18日に85 ppmの亜ヒ酸ナトリウム (NaAsO2) を飲水投与したC3Hマウス (ヒ素群) 及び対照群から得た仔世代 (F1)、孫世代 (F2)、ひ孫世代(F3)の精子DNAを用いて網羅的DNAメチル化解析をおこない、妊娠期のヒ素曝露は、仔世代の精子DNAのみならず、孫世代、ひ孫世代の精子DNAまで影響を与えることを明らかにでき、また、前精原細胞の単離条件についても検討中であるため、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前精原細胞、A型精原細胞の単離法の条件検討については、前年度から引き続き、前精原細胞とA型精原細胞を単離する条件を検討する。前精原細胞については、胎生17日の精巣から、その表面抗原であるThy1に対する抗体が結合した磁気ビーズで単離するための条件検討を行う。A型精原細胞については、生後6日の精巣から、その表面抗原であるE-cadherinまたはβ1- and α6-integrin抗体が結合した磁気ビーズで単離するための条件検討を行う。条件の確立後、単離した前精原細胞とA型精原細胞からDNAを抽出し、RRBSライブラリを作成し、次世代シークエンス解析をおこなう。 ヒ素曝露により世代を超えて継承される精子ゲノムメチル化変化部位の同定については、前年度から引き続き、妊娠期ヒ素曝露したC3Hマウス (ヒ素群) 及び対照群の、仔世代 (F1)、孫世代 (F2)、ひ孫世代(F3)の17週齢オスの精子ゲノムDNAのメチル化解析をおこなう。プロモーターやエクソンといったゲノム領域だけではなく、遺伝子領域にも着目し、F2及びF3のDNAメチル化変化とF1で観測されたDNAメチル化変化とを比較する。DNAメチル化変化が、どの世代まで、どの部位で伝わるのかを明らかにする。
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