2023 Fiscal Year Annual Research Report
コロナ禍での社会活動の制限が高齢者の長期的な健康に与える影響とその緩和要因の探索
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21H03196
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
永井 雅人 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命講師 (60707199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20298558)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新型コロナウイルス / 社会活動 / 介護予防 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、コロナ禍による1)身体活動や社会活動の機会、他者との関わり方、認知機能・メンタルヘルス・要介護認定状況・フレイルなどの変化を検討し、2)身体活動や社会活動の機会、他者との関わり方の変化が高齢者の長期的な認知機能・メンタルヘルス・要介護認定状況・フレイルなどに及ぼす影響と3)その緩和要因を探索・同定すること、を目的としている。 四年計画の三年目は、コロナ禍が高齢者の長期的な健康状態や生活習慣に与えた影響を検討した。研究対象者は2016年、2019年、2022年に実施した「健康と暮らしの調査」の全てにおいて調査対象地域となり、死亡や異動情報を追跡している18自治体の居住者である。2016年調査の回答者76725人、2019年調査の回答者67423人に対して、2019年調査および2022年調査データを個人レベルで突合し、3年間のパネルデータをそれぞれ作成した。 解析は傾向スコアを用いた逆確率重み付け法によって、コロナ禍を経験していない2016-19年データのベースラインをコロナ禍を経験した2019-22年データに揃えて実施した。また、転居や未回答などによる追跡不能者の影響をCerncering weightを用いて補正した。曝露はコロナ禍の有無(2019-22年データ or 2016-19年データ)とし、三年後の健康状態や生活習慣の状況をバイノミアル回帰分析、ロジスティック回帰分析、または線形回帰分析で性別に比較し、95%信頼区間をロバスト分散より算出した。 結果、男女ともにコロナ禍において三年後の主観的健康感が悪く、転倒経験が多く、座っている時間が長く、外出頻度、友人と会う頻度が少なく、市民参加得点が低かった。また、男性で介護・介助の必要性が多く、手段的日常生活動作が悪かった。一方、うつ、社会的凝集性得点、互酬性得点は男女ともに変わらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度実施した追跡調査のデータを用いて、コロナ禍が高齢者の長期的な健康状態や生活習慣に与える影響を検討することであった。結果、コロナ禍によって主観的健康感や転倒経験、社会参加の状況などが悪くなっていることを明らかにした。したがって、当初の予定通りに進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度実施した追跡調査のデータを用いて、コロナ禍が高齢者の長期的な健康状態や生活習慣に与える影響を検討した。最終年度である次年度は、要介護認定リスクおよび死亡リスクに対するコロナ禍の影響について、Cox比例ハザードモデルを用いて検討する。そして、2013年調査データを利用した2013-16年パネルデータを作成し、感度分析として同様な解析を行い、本年度得られた結果も含めて結果の妥当性を検証する。また、層別化解析や2020年調査データを2019-22年データと突合してMediation analysisを実施し、コロナ禍によって悪化した健康アウトカムを緩和する要因について探索する。 本年度得られた結果を含め研究成果をまとめ、学会発表や論文発表などを進める。
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