2022 Fiscal Year Annual Research Report
看護理工学的手法を用いた足白癬トータルケアシステムの確立
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21H03231
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
竹原 君江 藤田医科大学, 保健衛生学部, 教授 (70709865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
常深 祐一郎 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00361478)
峰松 健夫 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00398752)
野口 博史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50431797)
本田 育美 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (30273204)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 足白癬 / スクリーニング / 早期発見 / 糖尿病足潰瘍 / フットケア |
Outline of Annual Research Achievements |
足白癬は、白癬菌が皮膚角層に侵入し、進行すると亀裂や浸軟、爪白癬への移行による爪の肥厚・変形を引き起こす真菌感染症である。日本における足白癬の保有率は約20%と推定されているcommon diseaseである。しかし、糖尿病患者では足潰瘍のリスク要因であるとして足白癬の治療・ケアが強く推奨されている。また、足白癬が蜂窩織炎のリスクファクターであることや、高齢者では足爪白癬が転倒の要因であることが報告されている。したがって、足白癬を早期に発見し治療につなげる必要があるが、自覚症状に乏しく見逃されていることが少なくないため、効果的なスクリーニング方法が必要である。 足白癬は視診での診断が難しいことが報告されている。また、これまでの白癬の診断方法は、顕微鏡で白癬菌要素を確認する直接鏡検法や培養法など、足白癬が疑われる所見のある部位から角質を採取する必要があり訓練が必要であった。そこで、簡便な白癬菌のスクリーニング法の開発が必要と考えた。 令和4年度は、白癬菌のスライドカルチャーを用いPVDF膜に白癬菌ケラチナーゼを転写し、蛍光標識ケラチンをコーティングしたスライドガラスに貼付して反応させ、蛍光減少を観察する事によりケラチナーゼ活性を可視化した。さらに、プロテアーゼの働きを阻害する阻害剤を使用して蛍光減少の反応性を検討し、また、直接鏡検法で白癬菌が確認されたヒトの足の鱗屑からケラチナーゼ活性を検出した。次に、同様の鱗屑を用い、阻害剤に対する反応性を確認した。ヒトの鱗屑にPVDF膜を重ねて培養し上述と同様の方法で検討したところ、スライドカルチャー由来のケラチナーゼと同様の反応を示した。したがって、直接鏡検法で白癬菌が確認されたヒトの足の鱗屑から検出されるケラチナーゼ活性は白癬菌由来であることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度はskin blotting法による足白癬スクリーニング技術開発の他、足白癬予防ケアとしての足の清拭に着目し、機械学習による拭き残し自動検出技術の開発および足白癬疑い所見自動検出技術開発にも着手する予定であった。しかし、コロナの影響と研究者の異動により研究進行に遅れが生じた。その一方で足白癬スクリーニング技術開発は実験が順調に進み、令和5年度分まで進むことができた。以上より、全体的に見るとおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、以下のように進める予定である。 足白癬スクリーニング技術開発については、ケラチナーゼに対する抗体を作成し活用することにより、判定時間の短縮および可視化を目指す。 機械学習による拭き残しの自動検出技術の開発については、共同研究者とのミーティングを再開し、教育効果検証調査実施に向けた準備を行う。 足白癬疑い所見自動検出技術開発についても共同研究者と連絡を取りつつデータ解析を進める。
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