2021 Fiscal Year Annual Research Report
石綿で起こり症状緩和が困難な中皮腫に対するバディナースを用いた包括ケアの実装
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21H03241
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
長松 康子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (80286707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本城 由美 (佐居由美) 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (10297070)
中島 聡美 武蔵野大学, 人間科学部, 教授 (20285753)
伊藤 正哉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, 部長 (20510382)
小野 若菜子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (50550737)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アスベスト / 中皮腫 / 教育 / 実装 / 看護 / ケアガイド / 在宅ケア / 緩和ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
胸膜中皮腫は、アスベストで起こる悪性疾患で、我が国では毎年1600人が死亡している。胸膜中皮腫は、難治性かつ症状コントロールが困難で、平均余命7.9ヶ月と病状悪化が早く、心身の艱難辛苦のうちに死に至る。有害物質によって発症することから、患者と遺族の無念感が強く、患者の死亡後も遺族の悲嘆は長期化する。胸膜中皮腫患者と家族の生活の質を維持するためには、病期に応じたニーズを予測したケア体制を維持し、必要時に字sン測なケアを提供することが必須である。 しかし、胸膜中皮腫患者と家族のケアニーズは多様で、看護だけでは対応できないものも存在する。また、中皮腫の治療を提供できる医療機関が限られることから、中皮腫の治療を終えたのちに、患者居住地の医療機関へ転院する際にケアが途切れやすい。そこで本研究は、多職種や支援団体と協働して、同一のナースが診断からグリーフまでをケアコーディネートしている英国を習って開発した「日本版中皮腫患者と家族への包括的ケア:胸膜中皮腫包括ABCケア」をモデル病院にてケアを実装・改善し、実現性を評価する。 2021年度は、中皮腫ケアを実施している医療機関の看護師に対して聞き取り調査を実施した。その結果、中皮腫治療を実施している看護師は、地域における在宅医療や緩和ケアについての知識が不足していることから、患者が中皮腫治療を終えて退院する際のケアの移行支援が十分実施されていなかった。在宅ナースからは、中皮腫患者の支援要請がほとんどない実情が明らかにされた。すでに開発した「ナースのための包括ABCjケアガイド」について、緩和ケア、中皮腫を発症させるアスベストへの曝露予防方法、労災申請や石綿健康被害救済制度申請についての追記が必要であることが指摘された。これを受けて、ケアガイドの改定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19流行によって医療と教育に従事している研究者らが多忙で疲弊し、胸膜中皮腫患者、家族および遺族は、外出制限の中で孤独にあった。そこで、zoomやメールを駆使することで、研究を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
中皮腫患者と家族へのケアが滞りがちなターミナル期のケアを向上させるためには、中皮腫患者と家族に対する地域ケアや緩和ケアの推進が必要であるが、急性期病院から地域ケアへの転換に滞りが見られる。そこで、多職種や患者・加須k支援団体と連携しながら、診断から途切れることないケアを看護師が主導で実施する包括ABCケアを実践する看護師(バディ・ナース)を要請する教育プログラムをzoomを用いて実施する。
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