2021 Fiscal Year Annual Research Report
The optimal intervention for Patients with multimorbidity centered on nurses
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21H03264
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹屋 泰 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70590339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 理宏 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (70506493)
山川 みやえ 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80403012)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多職種連携 / 看護師 / multimorbidity / 医療情報 / PHR |
Outline of Annual Research Achievements |
Multimorbidityは多疾患罹患と訳され、2016年にWHOが今後の世界の大きな医療テーマの一つとなることを指摘した。高齢者のmultimorbidityに対する多職種連携の有用性を検討した報告は多く、この数年間世界中で、様々な職種を対象に研究が行なわれてきたにも関わらず、multimorbidityに対して多職種連携の有用性を示すことができた大規模RCTは存在しない。本研究の目的は、持続可能な地域包括ケアシステムの実現に向けて望ましい地域の在り方を構築するために、Multimorbidityの存在である複雑な高齢者に対して、看護師を中心とした多職種連携の有用性を検討することである。本研究で明らかにする具体的内容としては、①高齢入院患者を対象に、看護師中心の多職種連携の有効性を検討すること、②地域での多職種連携に対して、ICTツールの有用性を検討することである。これらによって下記の2点の問題点を解決する。①連携を可能にするテクノロジー:現在の多職種連携の問題点として、文書を介した情報提供は一部の施設に限られ、手続きも煩雑である。また、多職種が集まっての会議など直接的な手段が主であり、医療者の負担は極めて大きく、結果として連携する範囲は時間的にも空間的にも限界がある。②適時適切な多職種連携:多忙で時間の制約が多い医療職が、日常業務の中で一堂に会し面と向かって情報共有を行うことは容易ではなく、大きな負担にもなる。働き方改革が推し進められる中で、多職種連携の有用性を理屈では分かっていても、実際に望ましい連携を行う時間を確保することに大きな制約がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記①に対して、大阪府の急性期病院の単施設における後ろ向きコホート研究(症例対照研究)を行った。看護師を中心とした多職種介入を行った65歳以上の心不全患者200名と、年齢、性別、NYHA分類をマッチングし通常介入を行った患者200名の、計400名のMultimorbidity高齢者を対象とした。研究対象者の平均年齢は80歳、男性が62%であった。看護師介入群では通常介入群に比し、退院後6週間以内の緊急入院が減少し(Odds Ratio[OR],0.25,95% Confidence Interval[CI],0.13 to 0.50:P<0.001)、生存期間が延長していた(Hazard Ratio[HR],0.54,95%CI, 0.35 to 0.83 ; P=0.005)。Log-rank検定では、看護師介入群では退院後1年間の死亡率が7%低下していた(P<0.001)。この結果は、多職種連携の有用性を症例対照研究レベルで初めて証明した内容であり、現在論文執筆中である。また、上記②に対して、新しく開発された多職種連携アプリケーションについて、多職種に対してアンケート調査を行い、改善点を抽出し、物品管理システムなどのアップデートを行った。また、地域において特に重要な連携の一つと考えている看護師と薬剤師の連携についての文献検討を行い、両職種に対するインタビューを行うためのインタビューガイドの作成を行った。さらに北摂地域の多職種で定期的に連携の会を行い、地域での多職種において介護支援専門員・介護福祉士の重要性について再確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、①に関連して文献検討を終了し、看護師と薬剤師に対するインタビューを行い、地域での看薬連携の実態調査を行う。また、①と②に関連して、ICTツールを利用した多職種連携と従来の多職種連携との比較対照研究を行う。さらに、②のインタビュー結果や昨年度の多職種の定例会などより、当初予想していなかった地域における様々な問題点が抽出され、今後は介護職(介護支援専門員・介護福祉士)にもインタビューとアンケートによるを行う方針とした。さらに地域での物品管理の実態調査から、薬剤管理においても地域における様々な問題点が抽出されたため、まずは大阪府下の全訪問看護ステーションの看護師を対象に、麻薬に対する薬剤管理の実態調査を行う方針とした。
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