2021 Fiscal Year Annual Research Report
脳損傷後に生じる感覚入力経路の再編成と新規介入方法の開発
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21H03305
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
石井 大典 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30803291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 豊 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (10392200)
肥後 範行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (80357839)
武田 湖太郎 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (50618733)
尾崎 弘展 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30747697)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 感覚障害 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中リハビリテーションにおいて運動機能の回復は主目的であるが,運動にとって感覚機能が重要な要素であるにもかかわらず,感覚障害やその回復機序に関する報告は非常に少ない.そのため感覚障害への効果的な介入法はほとんど無い.この要因としては,大脳皮質より下部で体性感覚伝導路の左右連絡がないとされ,代償機能が生じ難いことが挙げられる.一方,脳卒中など非常時における情報伝達の変化はほとんど調査されていない.そこで本研究は,齧歯類・ヒト患者を対象とした体性感覚誘発電位と解剖学的検討から,非常時における感覚情報の伝達機構を明らかにすることを目的とする.さらに,末梢・脳への連合性対刺激を用いて,感覚機能に対する新たな非侵襲的臨床介入法の考案および提案を行う. 今年度は,健常成人および視床出血患者において,大脳皮質よりも下部で体性感覚伝導路に左右連絡が存在するかを調べた.具体的には左右の正中神経へ電気刺激を行い頭皮上より体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials, SEP)を記録した.左右の正中神経刺激間隔は数ミリ秒とした.健常成人では,大脳皮質より下部で体性感覚伝導路の左右連絡がないことが示唆された.一方,視床出血症例で通常ではみられない感覚情報の左右間相互作用を確認し,感覚伝導路において,脳卒中後に通常不使用の経路が顕在化する,または新経路が形成され得ることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験環境のセットアップに時間を要したが,実験手技の習得やデータ収集はスムースに遂行できた.その結果,健常成人および脳卒中患者での検討を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
視床出血モデルラットおよび脳卒中患者を対象として,末梢の体性感覚電気刺激で誘発され頭皮上で導出される体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potentials, SEP)の刺激法を工夫し,左右間の情報連絡を評価する.昨年度行った健常成人および脳出血患者特異的な左右間相互作用の存在もこの評価により観測された.今年度はまず,多数例の患者においても同様の現象がみられることを実証すると同時に,以下に記述する動物モデルによる詳細検討を進める. 動物モデルとしては,重度感覚障害が多くみられる視床出血モデルラットを用い,脊髄,脳幹,脳表からSEPを記録し,形成された新規ルートおよび機能の詳細を明らかにする. 動物モデルでの解剖学的検討では,神経トレーサーによる神経ネットワークの解析を行う.そこで,体性感覚情報を中枢へ伝える末梢神経に順行性トレーサー(BDA, biotinylated dextran amine)を注入し,脊髄,脳幹の連続切片を作成することで感覚神経の走行と分布を明らかにする.
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Research Products
(3 results)