2021 Fiscal Year Annual Research Report
Preventing heat-related illness in para-sports
Project/Area Number |
21H03322
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福原 幸樹 広島大学, 病院(医), 理学療法士 (80644971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 博 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (70314713)
三上 幸夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80422129)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | パラスポーツ / 下肢切断者・選手 / 体温調節機構 / 発汗特性 / 熱中症対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢切断者は熱放散に必要な体表面積の一部を失うが、胸部や大腿部で代償的に発汗反応を高めることで、体温を調節することを報告した(基盤研究C, 障害者スポーツ選手の熱中症事故を防ぐ-2020年東京パラリンピックを見据えて-; Hasegawa H, 2020; Fukuhara K, 2021)。しかし、なぜ代償性発汗を示すかは明らかでない。 2021年度は、定量的軸索反射性発汗試験という方法を用いて、下肢切断者および健常者の汗腺機能を比較検討した。定量的軸索反射性発汗試験とは、アセチルコリン溶液を通電することで皮膚へ浸潤させ、汗腺の受容器を刺激し、発汗量を定量的に計測するものであり、汗腺の機能を評価できる。皮膚に2mAの通電刺激を5分間加え続けると、ある地点から発汗反応を示す(発汗量の増加)。評価指標として、通電刺激開始から発汗開始までの時間および最大発汗量を求めた。測定部位は胸部と大腿部、前腕部とした。 下肢切断者における代償性発汗のメカニズムとして、発汗開始までの時間が短くなり、最大発汗量が増加する(汗腺機能の亢進)と仮説を立てた。しかし、本年度の研究成果では、下肢切断者の汗腺機能は胸部、大腿部、前腕部ともに、健常者と差がなかった。本年度の実験参加者数は少なかったため、今後は参加者を増やして検討したい。 今後、下肢切断者の汗腺機能と合わせて暑熱順化トレーニングの効果を検討することは社会的意義が深まり、下肢切断という身体障がい特性を考慮した暑熱対策につながる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代償性発汗は熱放散において非常に合理的ではあるが、脱水症へのケアが必要となる。そのため本研究課題は、脱水症の進展具合をリアルタイムモニタリングできる方法や脱水症への実践的な対策について、基礎的研究とフィールド調査により検討することである。さらに、代償性発汗を引き起こす下肢切断者の汗腺機能がどのように機能変化しているのか検討するとともに、下肢切断者の暑熱順化トレーニングが効果的であるか合わせて検証し、社会的意義を深める。 2021年度は下肢切断者の汗腺機能に関する基礎的研究を実施した。コロナ禍であり、実験参加者数が少なかったが、2022年度に実施予定の研究も合わせて開始できたため、おおむね順調にすすんだ。2022年度も継続してデータ収集予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は実験参加者数が少なかったため、今後も実験を継続し参加者を増やしていく。 また今後の研究として、2022年度は脱水症の進展具合をリアルタイムモニタリングできる研究を計画しており、予定通り実施していく。
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