2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21H03342
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
和坂 俊昭 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60390697)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 巧緻的運動 / 体性感覚情報 / 確率共鳴 / 感覚運動統合 / 運動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
手指の巧緻的な運動の背景には、力発揮量の巧みなコントロールが挙げられる。しかし、この能力を効果的に高める手法は確立されていない。手指の運動機能を高めるためには、運動療法や日常生活の動作を繰り返すことが一般的である。これらの方法は、反復練習による運動学習に基づくため、効果が表われるまでにはある程度の時間を要する。その他の方法として、運動を司る脳に対する磁気刺激や電流刺激が用いられている。しかし、この方法は脳に対して機器を用いて直接介入を行うため、リハビリテーションの分野では用いられているが、誰でも安易に利用できるものではない。そこで本研究は、新たな方法として、感覚情報のノイズ(雑音)を用いて、生体機能を高める「確率共鳴」と呼ばれる現象に注目し、電気刺激を用いて、運動機能を効果的に高めることができる方法を確立することを目的としている。 4年計画の初年度である2021年度は、手指の巧緻性の背景にある感覚運動統合過程を明らかにすることを目的として、脳磁図を用いて脳活動の記録を行った。巧緻的な運動と単純な運動を用いて、筋収縮強度と運動速度を操作した運動課題を設定し、運動中の体性感覚情報の処理過程を計測した。実験の結果、一次体性感覚野における感覚運動統合は、手指の運動強度と運動速度では異なる変動特性を示すことが明らかとなった。現在、この活動特性について詳細な検討を行っており、その結果に基づいて運動機能に作用する電気刺激の提示条件を絞って実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた研究課題である手指の巧緻性の背景となる感覚運動統合過程の解明に関する実験はすでに終えている。データ解析と並行して、手指の運動機能を促進する感覚情報の提示法の候補を絞り、いくつかの条件で実験を行っている。現在の所、感覚閾値以下の体性感覚情報の提示によって、運動を行う際の誤差が低下する結果が得られており、おおむね順調に研究が進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、電気刺激を用いて、手指の運動機能を向上させるための最適な体性感覚情報の提示条件を明らかにする。これまでの研究では、手指を支配する神経に対して電気刺激を提示していたが、筋に対して直接提示する方法も検討する予定である。
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Research Products
(2 results)