2022 Fiscal Year Annual Research Report
The role of epigenome and epitranscriptome in the development of obesity
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21H03349
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河野 大輔 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10382904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑田 出穂 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (50212147)
川端 麗香 群馬大学, 未来先端研究機構, 講師 (90721928)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 視床下部 / エピトランスクリプトーム / エピゲノム / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNAのアデニンの修飾であるN6-メチルアデノシン(m6A)修飾の脱メチル化酵素であるFTOやメチル化酵素であるMETTL3の視床下部おける役割を調べている。FTOは視床下部の特定のニューロン群において体重の制御に重要な役割をしていることが、コンディショナル欠損マウスや過剰発現マウスの解析により明らかになった。一方で、METTL3は、同じニューロン群において欠損させても、体重の有意な違いを生じさせなかった。したがって、m6A修飾制御の中でもFTOによるm6Aの脱メチル化が、特に、体重制御に重要な役割をしていると考えられる。FTOによる体重制御の分子機構を調べるため、m6A修飾の網羅的な解析したところ、視床下部ニューロン群において選択的スプライシングや膜輸送に関与する遺伝子のRNAをFTOが脱メチル化していることが明らかになった。そこで選択的スプライシングの網羅的解析であるアイソフォーム解析を行ったところ、軸索輸送に関与する有力な分子の選択的スプライシングが大きく変化していることが明らかになった。また、このスプライシングの変化は、タンパクの立体構造や活性に影響することが明らかになった。また、このスプライシングの変化は、空腹時のマウスの視床下部においても起こることが確かめられ、生理状態と連動していることが示唆された。これらから視床下部摂食中枢におけるエピトランスクリプトームの役割の一端を明らかにすることができた。 エピゲノムについては、DNAメチル化修飾の影響を強く受ける肥満関連遺伝子として、以前からチロシン水酸化酵素遺伝子(Th)に注目している。肥満に伴う変化を解析したところ、肥満発症に伴い視床下部の特定の領域のTh発現が大幅に増加し、また、DNAメチル化修飾が低下することを見出した。現在、この変化を誘導する分子機構を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視床下部摂食中枢のエピトランスクリプトームと体重制御の関係を、FTOによるm6A修飾制御の面から明らかにすることができ、また、詳細な分子機構も明らかにできた。また、視床下部摂食中枢のエピゲノムに関しては、肥満とTh発現に関する新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
エピトランスクリプトームの解析については、データが十分に集まったため、論文報告をしたい。また、エピゲノムに関して、肥満に伴いThの発現やDNAメチル化修飾が変化する分子機構を明らかにするために、DNAメチル化修飾の制御酵素などの発現の変化を調べることを計画している。また、DNA脱メチル化酵素のTETの視床下部摂食中枢における役割についてもコンディショナルノックアウトマウスを用いて解析しており、体重の部分的な変化を見出しているため、RNA-seqなどを用いて分子機序の解析を行う。
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Research Products
(1 results)