2021 Fiscal Year Annual Research Report
Quantum programming and algorithms based on higher-order quantum operations
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21H03394
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村尾 美緒 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (30322671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添田 彬仁 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 准教授 (70707653)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子アルゴリズム / 量子プログラミング / 高階量子演算 / 量子アプリケーション / 量子コンピューティング / 量子学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高階量子演算に基づいた新たな量子プログラミング方法の確立と、この方法を用いた新たな量子アルゴリズムの開発や量子アプリケーションへの応用、量子情報処理の時空構造の基盤的理解の深化により、量子計算フロンティアの開拓を目指すものである。初年度は、1. 関数型量子プログラミングの基盤となる高階量子関数を実行するための高階量子演算のカタログ作成、2. 高階量子演算を利用した新たな量子アプリケーションを探索するための研究、3. 高階量子演算の解析を通じた量子情報処理の時空構造の解析を行い、次の成果を得た。1. については、量子情報の符号化や復号で重要な演算であるアイソメトリ演算の逆変換化に関する高階量子演算の実装方法を考察した。アイソメトリ演算では出力次元が入力次元より大きいが、入力次元の大きさのみに依存するコストで逆変換化が可能な確率的並列アルゴリズムを発見した。さらに、「成功か引き分け化」の最適化により、成功確率を上げることができることを示した。2.については、高階量子演算を利用したユニタリ通信路判別問題の最適化について考察し、3.と関連して、判別対象のユニタリ通信路を用いる因果構造の違いが及ぼす影響を考察した。半正定値計画法(SDP)を用いた解析により、判別対象の3つ以上のユニタリ通信路が群をなさない場合には、並列<直接<不定因果的の順序で、対応する戦略を用いると判別の成功確率が上がることを証明した。一方、判別対象のユニタリ通信路が群をなす場合には、並列戦略が最適であることを証明し、その場合の最適化確率を導出した。さらに2と3.と関連して、量子系を冷却するために必要なコストの解析を行い、量子熱力学においては空間的なコストのみならず時間的なコストと複雑性コストを考えることで、ランダウアー原理と熱力学第三法則との差の引き起こすパラドックを解決した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の拡大によって外国人研究者の雇用ができず、当初の予定年度内に研究を終了させることができず繰越により研究期間を延長したが、最終的に外国人研究者が着任をすることができ、量子熱力学を含んだ分野での新たな進展があった。そのため、量子情報処理の時空構造の解析に関して、当初計画より広い視点から研究を実施することができ、新たな知見を得ることができた。また、3つ以上の入力変換を持つ高階量子演算および不定順序関係を持つ超通信路における因果構造の解析についても、外国人研究者の雇用と海外の研究者との共同研究により、新たな進展があった。当初予定していた高階量子演算のカタログ作成に関しても、研究計画時には想定していなかった、アイソメトリ演算の高階量子演算の実装方法を発見することができ、高階量子演算の研究の新たな可能性を切り拓いた。この研究を行う際に切り拓いた群の表現論に基づく高階量子演算のより効率的な表記方法の発見は、半正定値計画法(SDP)を用いた数値計算における計算可能な範囲を大きく広げる可能性があり、今後の研究進展の加速が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も、今年度に引き続き次の3つのテーマを置いて相互に関連づけながら研究を遂行する。 1.高階量子演算のカタログ作成と新たな量子プログラミング方法の確立:引き続き、入力ユニタリ変換を複数回用いる場合の高階関数の実装方法である高階量子演算を数多く発見し、これらを組み合わせた量子プログラミング方法の確立を目指す。また、量子プログラミングにおける新しいプログラミング戦略を見出す。また、高階量子演算を実装する確率的量子アルゴリズムの半正定値計画法による最適化を、効率的に行うための定式化を進める。 2.高階量子演算を利用した量子アプリケーションの研究:引き続き、高階量子演算を利用したアプローチによって、量子物理系の解析や量子シミュレーション、量子センサーに応用を目指した新たな量子アプリケーションを探索する。 3.高階量子演算の分散型量子計算への応用:分散型量子計算のシステムを高階量子演算の新たな応用先として考察する。局所的に実行するサブルーチンを超通信路で接続することによって実行するタイプの新たな高階量子演算の量子タスクを探索し、分散型量子計算により高階量子演算を効率的に実装する量子アルゴリズムを考察し、量子通信量(またはエンタングルメント量と古典通信量)やサブルーチン間の因果構造と並列性、サブルーチンの匿名性を解析する。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Landauer Versus Nernst: What is the True Cost of Cooling a Quantum System?2023
Author(s)
Philip Taranto, Faraj Bakhshinezhad, Andreas Bluhm, Ralph Silva, Nicolai Friis, Maximilian P.E. Lock, Giuseppe Vitagliano, Felix C. Binder, Tiago Debarba, Emanuel Schwarzhans, Fabien Clivaz, and Marcus Huber
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Journal Title
PRX Quantum
Volume: 4
Pages: 010332
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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