2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on New Content Centric Networking based on Content Semantics
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21H03434
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 幹 関西大学, システム理工学部, 教授 (30210561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬代 雅希 上智大学, 理工学部, 教授 (90377713)
速水 祐作 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所, 研究員 (00868820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コンテンツ指向ネットワーク / トラヒック制御 / キャッシュ制御 / アダプティブ画像レート制御 / 輻輳制御 / ライブ配信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動画像において時間軸,空間軸上にユーザの関心を大きく引く部分が存在することに着目し、セマンティックスに着目したネットワーク(NW)制御の全く新しいアプローチを検討する。これまでの研究がビット系列におけるスループットなどの無機質な性能向上を目的としているのに対し、本研究は動画像配信サービスにおける真のユーザ品質向上のためにコンテンツ指向NWにおける画像レート制御、輻輳制御、キャッシュ制御、経路制御などを、セマンティックスという意味論に一歩踏み込んだ新しい視点で検討することを目指す。 今年度(2021)は、まずセマンティックスを本研究でどのように定義し、これをどう具体的に扱うかという観点で、研究組織3名で動画像セマンティックスに関連した著名国際会議論文など多くの文献を読みつつ検討を行った。その結果、ユーザ視聴時のシーン別の重要度を分析することで動画像コンテンツを用意するサーバ側でセマンティックスを解釈する手法の可能性など、今後研究を推進するうえで重要な知見を得て、それをどう本研究に応用するかの基礎検討を行った。また、近年広く普及しつつあるライブ画像配信に着目し、ユーザにとっては画像ビットレートが多少異なっていてもコンテンツが取得できれば十分であるという観点から、NW内でのフロー集約を促進するような方向にエンドホスト画像レート制御を誘導するようNW内ルータが積極的に関与する手法の基礎部分を検討した。これらは今後本研究でさらに具体的な方式として具現化し、詳細な評価検討を進める。 またこの検討と並行して、従来から進めてきたキャッシュ制御、画像転送と相互に影響を及ぼす輻輳制御に関する研究を進め、国内著名研究会、国際会議で発表を行い、本研究の新しいアプローチと融合する準備を進めた。さらに、ライブ配信も対象とすることから、その基本性能の解析や評価ツールの開発に注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度(2021)は主に以下の内容に取り組み、計画以上に進展させた。i) セマンティックスを考慮したABR制御に関しては、以下の内容を遂行した。動画像をユーザが要求する場合、当然ながら高い品質の画像をみたいであろうが、NW状況に応じて要求するビットレートを適合させるのがABRである。ただし、ユーザはNWの状況をあくまで推定することしかできず、ユーザの利用可能帯域を正確に把握できるのはNWである。この点に着目し、NW内のルータがコンテンツ流を意図的に操作することで、ユーザ側のABR選択を間接的に制御する新しい手法の検討を行った。また、ABR制御はその下で動作する輻輳制御と密接に関連しながら動作する。この観点から、今年度は輻輳制御に関する基礎的研究も推進し、電子情報通信学会ならびに情報処理学会論文誌、ならびに研究会で発表した。ii) セマンティックスを考慮した経路制御に関しては、近年広くサービスされつつあるライブ映像配信を対象に検討を行った。オンデマンド系と異なり、ライブ配信ではユーザ視聴時間が重なることから大きな集約効果が見込める。ただし異なるビットレート画像についての集約は見込めないが、この問題を解決する手法として、i)で開発したABRと連動しトラヒック集約を図る手法を検討した。また、本研究のベースとなるライブ配信の基礎評価を進め、研究会発表を行った。iii) セマンティックスを考慮したキャッシュ制御に関して、今年度はセマンティックスをどう扱うかについて深く検討を行い、今後のキャッシュ制御への応用の準備を行った。これにあわせて、ABR制御を考慮したキャッシュ制御を開発し、今後セマンティックスを考慮する方式のベースとする。この成果は、電子情報通信学会国際会議で発表した。iv) セマンティックスCON評価ツールに関しては、次年度以降の評価に用いるベースとしての基本評価ツールの作成を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度(2021)の取り組みを継続するとともに、新たな課題を加え、以下の5つの課題に取り組む。 i) セマンティックスを考慮したABR制御に関しては、エンド側で動作するABR制御とNW内ルータとの連携による新しい画像レート選択手法のさらなる検討を進め、評価ツールを用いた詳細評価を行う。具体的には、NW内のルータが同一コンテンツに対し異なるビットレートで流れているフローを発見した場合に、これを集約する方向にレート制御を間接的に制御する昨年度基本設計を検討した方式をさらに詳細検討し、具体的な提案方式として発展させる。ii) セマンティックスを考慮した経路制御に関しては、i)で開発するABR制御とNWルータが連携することで、NW内のコンテンツフロー集約を実現しマルチキャスト経路への集約を積極的に図る新しい経路制御手法を開発する。iii) セマンティックスを考慮したキャッシュ制御に関しては、サーバ側で用意するコンテンツセマンティックスの情報をもとに、NW内キャッシュの蓄積コンテンツを制御する新しい手法を検討する。iv) セマンティックスを考慮したトラヒック制御に関しては、i)およびii)で開発するABR制御と経路制御と連携したトラヒック集約が輻輳制御に及ぼす影響を詳細検討し、セマンティックスを考慮した新しいトラヒック制御の検討を進める。v) セマンティックスCON評価ツールに関しては、上記の各課題で提案する手法を基本評価ツールに実装し、評価ツールの開発を進める。 なお、セマンティックスを考慮した手法のみならず、広くコンテンツ指向NWでのキャッシュ制御、輻輳制御、ABR制御に関する研究も展開し、今後本研究で開発する手法との統合による発展に備える。上記各課題については、新しい手法の開発を行うとともに評価ツールを用いた性能評価を行い、得られた知見をもとに提案方式のさらなる改良も行う予定である。
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Research Products
(6 results)