2022 Fiscal Year Annual Research Report
Design of a Disaster Information Sharing System Using Information-Centric Wireless Networks
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21H03436
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
三角 真 福岡大学, 工学部, 助教 (50647419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 遼 福岡大学, 工学部, 講師 (00881989)
上山 憲昭 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90710294)
森 慎太郎 福岡大学, 工学部, 助教 (90734913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 情報指向ネットワーク / 遅延耐性ネットワーク / 耐災害ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
災害時に通信インフラが損傷し、さらにDDoS攻撃やCache pollution attack (CPA)などのキャッシュに対する攻撃が発生した場合、被災地のデータ通信の可用性が大幅に低下する。そこでDDoSとCPAによる応答時間の低下量を解析的に分析した。またキャッシュサーバ(CS)のIPアドレスを騙ることで攻撃者はCDNを用いたDDoS攻撃が可能となる。そこでCSを騙ったDDoS攻撃を検知する方式を検討した。 また、これまでに設計したキーワード型ICDTNを現実的な条件下で評価した。より詳細に述べると、実際の画像データセットを用いてコンテンツ間の類似度を定量化し、この類似度とキーワード型ICDTNの通信性能との関係を分析した。実際の類似度を数値条件に与えることで、コンテンツ空間の大半を占めるのは、類似度が中程度のコンテンツであることがわかった。この点を、キーワード型ICDTNを設計する上で考慮しなければならないと結論付けることができた。 さらに、携帯端末によるDTNの適用に際して、電力・ストレージ・通信帯域などの資源を浪費し他の端末のために通信を中継することに対するインセンティブが課題となる。IPとICNにおけるインセンティブの基礎的な検討として、中継した通信量による従量課金型のモデルにおいて、有線のIPネットワークに対するICNの導入過程をMASにより分析した。 くわえて、ICDTNが想定しているすれ違い通信に対して、消費電力を低減させるための地上移動ノード相互の協力通信に基づく新たな無線通信プロトコルを検討した。とくに無線通信リンク特有の不確かさに対処するために、協力通信に加え複数経路によるダイバーシチ技術によるデータ補完手法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2階層のCSモデルに対して、DDoSとCPAが混在して発生する場合の、各CSの応答時間を待ち行列モデルを用いて導出した。そして1件の査読付き国際会議に採録された。またCSからの正常な配信要求とボットの配信要求を識別するため、Zスコア法を用いて発生要求量の時系列データからの検知と、さらにDNSサーバのログで問い合わせの有無を確認する2段階検知方式を提案した。 また、実際の画像データから類似度データセットを構築したことで、キーワード型ICDTNにおける現実的な条件での評価が可能となった。これまでの評価では、人工的に生成したコンテンツ間の類似度を用いており、「類似度がユーザにとってどのような意味を持つのか」という点が未解明であった。この課題は、学会発表においても頻繁に指摘される事項であることから、報告者らもその重要性を認識していた。本年度は、この課題に対して一定の解を得ることができた。 さらに、出入りトラヒック量の和に応じて課金が発生するSUM型と、出入りトラヒックのうち大きいトラヒック量に応じて課金が発生するMAX型について評価した。また、中継するトラヒック量が多いほどICNのキャッシュによる中継トラヒックの減少したものの、それに伴う収入の減少からICNの導入に至らない状況が確認され、トラヒック量のみに寄らないインセンティブの設計の必要性が示された。 くわえて、ICDTNに応用可能な無線通信ネットワーク技術として、協力通信手法としてネットワークネットワーク符号化技術と建設的干渉現象を適用した。計算機シミュレーションの結果、相互干渉環境下でのデータ転送の回復可能性と、キャッシュ・データ拡散の改善が実証された。本成果は2件の査読付き国際会議および学術論文に採択・採録され、Best paper awardを受賞するなど高い評価を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
全体の平均応答時間が最大となるよう、攻撃者が各CS・各コンテンツに対して生成する配信要求の比率を遺伝的アルゴリズムで最適化する。またローカルDNSサーバでキャッシュヒットした場合、権威DNSサーバに名前解決の問い合わせが発生しないことから、DNSサーバのログを2段階検査時に確認することを検討する。そして計算機シミュレーションにより、処理負荷量と配信サーバの負荷量を評価する。 また、これまでに、キーワード型ICDTNの設計およびシミュレーションによる初等的な評価を終えることができた。今後は、キーワード型ICDTNを高度化させること、例えば、ネットワーク資源の浪費を抑えることやコンテンツ配送を高速化させることに取り組む。ただし、シミュレーションによるアプローチには限界があるため、数学的解析を併用することを予定している。 さらに、携帯端末における他ノード通信中継のためのインセンティブ設計のために、有線ネットワークに対して適用したモデルを無線ネットワークに適用可能なよう拡張するとともに、中継トラヒック量だけに寄らないインセンティブ設定手法についても検討していく。 くわえて、ICDTNが想定する無線通信ネットワークに関する検討は一定の成果を得られた。本手法に関しては今後も継続的に検討を進める。一方、次年度以降に関しては、申請書に従い、被災地域において地上に敷設された無線通信システムが利用できない場合を想定し、上空移動ノードとしてUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を用いたデータ収集方式の開発に着手する。
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