2021 Fiscal Year Annual Research Report
遅延時間がネットワークダイナミクスに誘発させる安定化・多様化の基礎と革新的応用
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21H03513
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小西 啓治 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90259911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真弘 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (10353301)
原 尚之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10508386)
杉谷 栄規 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (40780474)
吉田 晃基 富山高等専門学校, その他部局等, 特命准教授 (30910442)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遅延時間 / ダイナミクス / 複雑系 / 制御工学 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ネットワークの振る舞いと遅延時間の関係を調査・探求する.遅延には,振る舞いを安定化・多様化するポテンシャルを有していることに着眼し,これを活用する応用研究にもチャレンジする. 2021年度の具体的な成果は以下の通りである. 【1. 遅延結合発振器ネットワーク】同じ発振周波数の複数の発振器に,遅延時間を有する相互作用(結合)が伴うと,全ての発振が止まる「振動停止現象」が生じる.これについて,以下のような成果を得た.(1) 異なる発振周波数を持つ2個の発振器に生じる振動停止現象の定性解析を詳細に実施した.特に,複雑な安定条件を丁寧に整理することで,発振周波数の差が安定性に与える影響を明確に示し,先行研究では意識されていなかった安定領域の存在も解析的に示すことができた.(2) 同じ発振周波数を持つ2個の発振器に生じる振動停止現象について,定性解析を詳細に実施した.特に,振動停止現象が生じる発振周波数の「帯域」に着目し,解析的な条件を導くことができた. 【2. 直流給電ネットワーク】 直流給電ネットワークの基本回路において,遅延フィードバックを施すことで確保できる動作点の大域的な安定性を,分岐解析で詳細に調査した.さらに,実機実験でも,矛盾しない結果を得ることができた. 【3. 感染症ダイナミクス】 COVID-19 が全世界で猛威を振るっている.一連の「感染→発症→検査→隔離/治療→報道」には,それぞれ数日程度の遅れがある.そのため,感染者数のダイナミクスには,この遅延が大きく影響していると考えることが自然であろう.この遅延を含む「感染ダイナミクス」を分岐解析で詳細に調査し,さらに,感染者数の増減を平準化するという目的に,遅延フィードバック制御が活用できそうであることも示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は,おおむね順調に進展したと判断した.特に,発振周波数の差が安定性に与える影響の調査によって,安定領域の存在に関する新たな解析的結果が得られたことは,当該分野の進展に寄与するであろう.感染症ダイナミクスについては,本年度から研究を開始したにもかかわらず,多くの知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,複数のサブテーマを,相互作用させながら並行して進めてきた.いくつかのサブテーマでは,上記のように顕著な進展が見られたが,そうでないサブテーマもあった.今後は,全てのサブテーマの底上げをし,異なるサブテーマの相乗作用を意図的に高めるよう,サブテーマごとの情報共有をより密にしていきたいと考えている.
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