2021 Fiscal Year Annual Research Report
言語資源エコシステムのためのシェアリングエコノミーの構築
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21H03561
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 陽平 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (00435786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PITUXCOOSUVARN MONDHEERA 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (10875941)
石田 亨 早稲田大学, 理工学術院, 教授(任期付) (20252489)
林 冬惠 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (90534131)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サービスコンピューティング / マルチエージェントシステム / ブロックチェーン / シェアリングエコノミー / 低資源言語 / 言語資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
基盤研究では、「言語資源開発のためのインタラクションプロトコルの設計」と「超分散マルチエージェントシステムの構築」に取り組んだ。「言語資源開発のためのインタラクションプロトコルの設計」では、開発する言語資源の品質を保証するために、作業履歴に基づく信頼値を導入している。Web上の不特定多数に仕事を依頼するシェアリングエコノミーでは、正しいサービスを得られる保証がなく、サービス利用者はサービス提供者の評判を参考にするしかない。そこで、サービス提供者の作業結果を別の信頼できるサービス提供者が評価することで、開発される言語資源の品質を保証するインタラクションプロトコルを構築した。具体的には、信頼値が高い人ほど評価タスクを担うようにワークフロー内でタスク割り当てを行い,その評価者によって正しいと評価された人が信頼値を得られるインタラクションプロトコル(ワークフロー)を作成した。多様な能力分布のワーカー群を用いて、提案手法をシミュレーションによって評価したところ、言語資源の品質は、ワーカーの能力平均がいずれの場合であっても、信頼値を用いない場合よりも提案手法が常に高くなることを検証した。一方、「超分散マルチエージェントシステムの構築」では、エージェントを制御するための軽量のシナリオ記述言語の初期設計を行った。具体的には、シナリオ記述言語Qの言語仕様に準拠し、JavaScriptの関数としてシナリオ記述を設計している。今後の超分散化に向けて、JavaScriptを用いることで、各エージェントをユーザ端末のブラウザ上で実行可能としている。また、実証研究では、難民向けの行政文書翻訳支援システムのプロトタイプを開発し、想定ユーザからユーザインタフェースや機能についてフィードバックを得るためのワークショップを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基盤研究では、主に「言語資源開発のためのインタラクションプロトコルの設計」に取り組み、信頼値を用いた品質保証のインタラクションプロトコルを作成し、おおむね順調に進展している。特に、シェアリングエコノミーでは、Web上の不特定多数に仕事を依頼するため、事前にサービス提供者の能力分布を仮定することが難しいが、提案手法は、ワーカーの能力分布の平均によらずに、信頼値を用いない場合よりも常に成果物の品質を高く保つことをシミュレーションにより検証している。 また、「超分散マルチエージェントシステムの構築」においても、マルチエージェントシステムのシステムアーキテクチャの詳細化にまで至っていないものの、マルチエージェントシステムを制御する上で重要なシナリオ記述言語について、実装言語をJavaScriptに定め、シナリオ記述言語Qの言語仕様の実装方式の初期検討を完了しており、おおむね順調に進展している。 一方、実証研究では、COVID-19の影響で延期していた、日本学術振興会(JSPS)とオーストリア科学財団(FWF)の二国間交流事業によるワークショップをハイブリッドでウィーンにて開催し、日本側は遠隔参加ながらも、開発した難民向けの行政文書翻訳支援システムのプロトタイプのデモを行い、想定ユーザからのフィードバックを予定通り得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
ウィーン大学と連携し、今年度に引き続いて想定ユーザの参加型ワークショップを実施することで、難民向けの行政文書翻訳支援システムのプロトタイプのブラッシュアップを図り、超分散マルチエージェントシステムのシステムアーキテクチャの設計と並行して、パイロットシステムの外部仕様を明確にしていく。これにより、将来的な手戻りの発生の可能性を回避していく予定である。また、COVID-19の状況を見ながら、可能であれば現地でワークショップに参加し、想定ユーザからのフィードバックを直接得ることを目指す。一方で、COVID-19の影響でワークショップの開催が困難な場合を想定して、既に実績のあるインドネシアでの対訳辞書作成システムのマルチエージェント化も並行して進め、イスラッミックリアウ大学やテレコム大学と連携して、インドネシアでの実証実験の可能性も検討していく予定である。
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