2021 Fiscal Year Annual Research Report
Temporal profiling and environmental analyses of mass-independent isotope effects of sulfur in ice core samples
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21H03594
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 和也 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別嘱託研究員 (70221356)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 硫黄同位体比 / 非質量依存同位体分別 / 氷床コア試料 / 環境動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者が確立した世界最高感度レベルの硫黄同位体比(δ34S)分析システムを改造し、δ34S、δ33Sの同時高感度分析(非質量依存同位体分別効果の連続解析)を氷床コア試料において実現する事をまず第一段階の目標とした。2021年度においては、この第一段階の目標を達成するため、安定同位体分析装置の検出系を改造し、硫黄同位体比分析をSO2+及びSO+の2種類のフラグメントイオンで分析出来るシステムを構築した。現在、IAEA及びNISTの硫黄同位体比標準試料を用いて、この分析システムの評価を行っているところである。 また、対象となる試料のうち、南極ドームふじ基地付近で採取された浅層コアDF01の19世紀の降水に対応する試料100個について、1年刻みのδ34S分析を行い、イオン分析の結果と照らし合わせ、イオン、硫黄同位体比の年代プロファイルの解析を行った。その結果より、大規模火山噴火に起因するシグナルの抽出などを行うと共に、現在のところ、説明の出来ない同位体変動も見いだし、δ34S、δ33Sの同時高感度分析を行うべき対象事象の発掘に努めた。その結果、これまで南極の氷床コアでは確認出来なかった火山シグナル3庫を含め、8個の大規模火山噴火に関連するシグナルを硫酸イオン及び硫黄同位体比変動から確認出来た。また、未知の火山シグナルと思われる変動や成層圏成分の寄与と推測できる硫黄同位体変動を確認することが出来た。この第一段階における研究成果の一部は学術論文として公表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請課題の第一段階として、δ34S、δ33Sの同時高感度分析が可能となるように安定同位体質量分析装置を改造する事が2021年度の大きな目標であった。コロナ渦における社会情勢(生産活動や輸送活動の停滞)により、2021年内の達成は出来なかったが、2022年2月までに装置の改造を実施することが出来、年度内の達成を行う事が出来た。標準試料による装置評価が出来なかった事が不満であるが、対象となる試料(南極ドームふじ基地付近で採取された浅層コア)の事前解析を行い、その成果を学術論文として公表できた事は今後の研究遂行の基盤を構築するという意義があり、今後の研究の順調な進展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においては、前半で、標準試料を用いた装置評価を行うと共に、少しずつ、実試料の分析を開始していく予定である。特に、IAEAやNISTの標準試料を用いた装置評価だけで無く、非質量依存同位体分別効果(Δ33S)の認証値が得られている標準試料を入手し、世界的に通用する値が出せる分析システムを確立したい。 その上で、まず、19世紀に対応する氷床コア試料の分析から開始し、新しい環境分析動態解明のプローブとして、δ34S、δ33Sの同時高感度分析を押し進めていく予定である。試料の準備、装置改造結果の評価に関しては、特に大きな障害は無いので、今後の研究の遂行は順調に進むものと期待している。
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Research Products
(1 results)