2022 Fiscal Year Annual Research Report
Temporal profiling and environmental analyses of mass-independent isotope effects of sulfur in ice core samples
Project/Area Number |
21H03594
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 和也 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別嘱託研究員 (70221356)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 硫黄同位体比 / 非質量依存同位体分別効果 / 氷床コア試料 / 環境動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募者が確立した世界最高感度レベルの硫黄同位体比(δ34S)分析システムを改造し、δ34S、δ33Sの同時高感度分析(非質量依存同位体分別効果の連続解析) を氷床コア試料において実現する事をまず第一段階の目標とした。2021年度においては、安定同位体分析装置の検出系を改 造し、硫黄同位体比分析をSO2+及びSO+の2種類のフラグメントイオンで分析出来るシステムを構築した。引き続き、2022年度においてはまず、IAEA-SO5、IAEA-SO6及びNIST127の3つの硫黄同位対比用標準試料を用いて、システムの安定性をチェックするとともに、観測値からδ34S、δ33Sを得るための校正方法の確立を行った。すなわち、観測値(生データ)はδ50S、δ49Sとして得られるが、この値からそれぞれ、CDT値としてのδ34S、δ33Sを得るための校正式を求めることに成功した。世界的にδ34S、δ33S分析の権威であるSavarino博士(仏グルノーブル大)より、非質量依存同位体分別効果(Δ33S)が保証されている標準試料(S-MIF-1)を譲り受け、我々の分析方法が妥当であるたことを確認した。また、氷床コア試料といった、微量の硫黄成分の同位体分析への応用において、分析システム内のバックグラウンド低下は必須の課題であるが、方法論としてほぼ克服することができたと考えている。現在、その成果を報告論文としてまとめているところである。 また、上記のように改造された検出システムにより、従来より実施してきたδ34S分析の精度が飛躍的に向上したことを受けて、天然鉱物の分析も実施した。 今後は、2022年度までの成果を基に、コア試料分析の開始への道筋をつけたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年以来のポストコロナにおけるサプライチェーンの混乱、さらには2022年当初のウクライナ戦争による資源不足などにより、硫黄同位体分析に必須な試薬、元素分析計のスペアパーツ、電子部品等の供給不安が顕在化しており、実験の遂行に影響が現れている。その顕著な例が、高純度ヘリウムガス、水トラップ充填剤(五酸化二リン)、検出計プリアンプ用高抵抗である。高純度ヘリウムについては納品業者と年間供給計画を策定したため、多少は安定的な状態になってきたが、後者の試薬と電子部品に関しては全く納期が見込めない状態であり、分析作業の順調な遂行を妨げている。 本来は2022年度中に氷床コア分析を開始するところであったが、手持ちの試薬と機材の在庫状態から分析個数に制限を設けざるを得ず、氷床コア分析の開始は半年程度遅れるものと推測している。供給会社には一刻も早く供給状況を改善するよう要望しているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
分析用の試薬、分析機器のスペアパーツ類の供給状態の改善については昨年度中から担当業者と相談し、計画的な発注で何とか切り抜けるよう努力している。研究自体に関しては、方法論そのものは既に確立できたので、後は、氷床コア分析の開始に努めていきたい。
|
Research Products
(2 results)