2021 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic susceptibility to radiation-induced breast cancer: establishment of an animal model for developing prevention strategy
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21H03601
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
今岡 達彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, グループリーダー (40356134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線感受性個人差 / 遺伝性乳がん / 動物モデル / 発がん機序 / がん予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線は被ばくの量に応じてがんリスクを高めるが、その遺伝的個人差についてはよくわかっていない。BRCA遺伝子変異は、保持者が比較的多く、がんリスクへの影響が大きい遺伝的要因の一つであり、放射線が作るDNA損傷の修復にも関係する。本研究は、BRCA1変異のラットモデルを用いて放射線によるがんリスクの機序を解明して、被ばく後の乳がん予防法の基盤とする。本年度はまず、異なる遺伝的背景を持つコンジェニック系統で変異の影響を調べた。その結果、この系統では罹患率が全体的に低かったが、同変異が放射線誘発乳がん感受性を高める傾向は保存されていた。また、同変異の放射線誘発DNA損傷修復能への影響、腫瘍における同遺伝子の正常アリルの状態及びゲノムの二次的変異について調べる実験を計画に沿って進めた。具体的には、DNA損傷修復能を評価する実験系として、野生型ラットを照射して経時的に乳腺組織を採取し、DNA二重鎖切断の減少速度を解析できる線量を決定した。また、腫瘍凍結切片からマイクロダイセクション法によって上皮細胞を単離する実験条件を決定し、単離した組織からRNAを抽出したほか、比較用の正常組織から上皮細胞を濃縮する条件も決定した上、試料を採取、保存した。二次的変異を解析するためのエクソームシーケンシング実験についても計画通りに進め、マイクロダイセクション法によって間質を除いた腫瘍部からのゲノムDNA採取条件を決定した。加えて、これまでに得ている乳がんにおいてエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体の免疫染色の条件を決定し、計画通りに染色を進めた。Brca1ハプロ不全はエストロゲン受容体陽性細胞の少ない乳がんの発生と関連していることが示唆された。以上のように初年度は、重要な実験条件を決定したほか、がんリスク及び腫瘍表現型へのBrca1ヘテロ欠損変異の影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度計画であった、遺伝的背景が放射線発がん感受性に及ぼす影響の解析と、損傷修復能を測定する実験、原因遺伝子正常アリルの発現抑制の可能性を検討する実験に関する複数の重要な実験条件の検討を終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度決定した条件に基づいて、遺伝子変異蓄積機序の解明及びホルモン依存性機序の解明をゲノミクス及び分子マーカーの解析によって進める。
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