2021 Fiscal Year Annual Research Report
Simultaneous determination and exposure assessment of halogenated polycyclic aromatic hydrocarbons and their derivatives
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21H03614
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三宅 祐一 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (40425731)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ハロゲン化多環芳香族炭化水素類 / 残留性有機汚染物質 / リスク評価 / 有機ハロゲン化合物 / 曝露経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲン化多環芳香族炭化水素類(ハロゲン化PAHs)は、環境残留性や有害性の観点から新規残留性有機汚染物質の候補となり得る化学物質群であるが、包括的な環境汚染調査やリスク評価が行われていない。そこで本研究では、不足していた高リスクが推定される標準物質の新規合成を行い、一般環境汚染実態の包括的把握と主要な汚染源の探索を行う。また、これら汚染調査結果に基づいて、ヒトへの主要な曝露経路の推定とリスクレベルの評価を行う。さらに、未知・未規制のリスク要因となる代謝物を含むその他誘導体を網羅的に評価することで、様々な曝露経路ごとのリスク分布を考慮したリスク低減手法を提案する。 今年度は、今までに有機合成等を行ってきた4塩素化体以上の高塩素化体(テトラクロロピレンなど)やハロゲン化PAHsの代謝物(ヒドロキシクロロピレン、ヒドロキシクロロフェナントレンなど)を含めた高精度・高感度分析法を開発した。GC-MS/MSを用いた一斉分析法に関しては、72種のPAHsおよびハロゲン化PAHsを同時定量可能な分析法を開発することができ、高分解能GC-MSを用いた従来法と比較して4.2~2600倍高感度化することもできた。様々な環境媒体で使用可能な分析法であり、幅広い分野での活用が期待される。また、バングラデシュのダッカと静岡市でPM2.5のサンプリングを継続的に行っており、PM2.5中のPAHsおよびハロゲン化PAHsの汚染実態が一部明らかになった。バングラデシュの大気中PM2.5濃度とPAHsおよびハロゲン化PAHsの濃度は、同時期の日本(静岡)の濃度と比較すると、それぞれ49倍、24倍高濃度であった。多くのPAHs・ハロゲン化PAHs(72種類)を高感度に分析することができるようになったことから、統計解析の元データとして高精度になり、より詳細な発生源推定を行っていくことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規物質を含めたPAHsおよびハロゲン化PAHsの分析法開発が順調に進んでおり、国内外の一般環境汚染実態調査も進行していることから、当初の予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、高塩素化PAHsの合成と共に、一般環境汚染実態の包括的把握と室内環境汚染の調査を進める。また、環境汚染実態調査結果と基にしたヒトへの主な曝露経路の推定とリスクレベルの評価も行っていく。
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