2022 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルスや環境負荷物質の高速高選択濃縮を可能とする高特性鉄ナノ粒子磁性ビーズ開発
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21H03628
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (90312652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30706809)
横山 幸司 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00911158)
上高原 理暢 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (80362854)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鉄ナノ粒子 / 水溶液中合成 / 錯体構造制御 / 磁性ビーズ / ウィルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体材料向けに表面が清浄であり、無機被膜等により耐試薬性・耐腐食性を有し、抗体等付着と高分散性のために表面の特性制御(官能基や電位など)がなされた金属鉄ナノ粒子を開発する事で、ウィルスや環境負荷物質の高速高選択濃縮を可能とする高特性鉄ナノ粒子磁気ビーズ開発することを目的とする。 水溶液中において鉄錯体が難還元性の酸化物や水酸化物を形成せずに安定に存在しつつ還元剤で還元可能な条件を、錯生成定数を用いた計算予測とESI-TOF-MS等の機器分析を用いて予測する。表面の汚染は、反応場となる水溶液中の電位を水素ガス飽和条件と合成される鉄ナノ粒子の電気二重層/表面官能基制御により抑制する。表面官能基制御による均質被膜形成を通じて耐腐食性及び耐試薬性を付与し、その上で、目的とするウィルス等を選択的に付着可能な抗体や官能基を付与する。これらを総合的に行う事で、ウィルスや環境負荷物質の高速・高選択濃縮を可能とする高特性鉄ナノ粒子磁気ビーズを開発する。 研究期間内に4stepの研究開発を相互補完的に行い、目的を達成するために必須な要素を明らかにする事で、本研究の目的を達成する。2022年度は、表面官能基制御による耐試薬性・耐腐食性のためのSi等無機被膜形成技術開発を開始した。金属鉄ナノ粒子の表面は徐々に酸化される。高い特性を保持した材料化のためには、この腐食反応を抑制しつつ、抗体等の付与を可能とする制御技術の開発が必要となる。そこで、金属鉄ナノ粒子表面に被膜の足場となる官能基を付着可能な表面電位制御と官能基制御を試み、更に、独立分散粒子化することを目的にアミロペクチンによる保護法の開発とその安定な除去機構を開発した。その上で、水中に於いて無機被膜を形成する技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開発開始時に目的としていた反応場の還元状態制御と表面電位制御技術の技術開発を、前者は水素飽和等により、後者は合成される鉄ナノ粒子の反応場における電気二重層等を制御することにより達成できている。更に、独立分散粒子化をアミロペクチンを添加により達成でき、その除去を安定的に達成できた。また、最大の障害となる水溶液中における無機皮膜形成のための手順を開発できる見込みがたった。その為、上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、研究期間内に4stepの研究開発を相互補完的に行い、目的を達成するために必須な要素を明らかにする事で、本研究の目的を達成する。 2023年度は<Step 3> 再分散性担保のための表面電位制御技術開発を試みる。合成した金属鉄ナノ粒子ビーズがウィルス等と接触するためには高い分散性を有する必要がある。ナノレベルの材料の分散性を制御するために、(3-1) 反応場の条件下での表面電位の制御技術の開発、(3-2) 合成後の乾燥過程等における分子間力による凝集の抑制手法、を開発することで、再分散性が高い材料表面を担保可能な材料の合成を試みる。
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