2021 Fiscal Year Annual Research Report
悪臭公害と廃棄物処理の同時解決に向けた特定悪臭物質と金属水酸化物の反応機構解明
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21H03629
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平木 岳人 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (60550069)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 金属水酸化物 / 悪臭除去 / 資源循環 / 硫化水素 / 水酸化マグネシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
金属水酸化物と特定悪臭物質との反応機構解明を目的として、主に水酸化マグネシウムと、硫化水素の反応性を調査した。水酸化マグネシウム粉末に対して、硫化水素3%を含む窒素ガスあるいは硫化水素1.5%および10%酸素を含む窒素ガスの雰囲気下で硫化水素除去試験を実施したところ、酸素を含まない硫化水素と窒素の雰囲気下では硫化水素の除去が確認できなかった。一方で10%酸素を含む雰囲気では室温下において24時間経過後には硫化水素濃度が1.5%から0.76%まで顕著に低減することが確認できた。水酸化マグネシウムは酸素共存下において硫化水素を室温で除去できることが明らかになった。また除去後のサンプルを本研究で購入したマイクロスコープによる試験前後の形状観察と構成相分析を行ったところ、試験後の水酸化マグネシウム表面には単体硫黄が一様に付着していることを確認することができた。本結果により水酸化マグネシウムは硫化水素を吸着除去することはできないが、酸素共存下において硫化水素を酸化することができる触媒として機能していることが明らかになった。またこの結果は生成した硫黄を回収すれば繰り返し硫化水素改質材料として水酸化マグネシウムを利用できる可能性を示唆した。さらには水酸化マグネシウムの比表面積を高くすることや酸素分圧を高くすることで硫化水素除去能力を向上させることが可能であることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水酸化マグネシウムについて代表的な悪臭である硫化水素の除去能力が存在することを明らかにし、またその除去能力が発揮される条件を見出すことができた。これによりマグネシウム系廃棄物を用いて水酸化マグネシウムを合成することができれば悪臭除去能を持つ機能材料へと転換することができることを見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
金属水酸化物種として、鉄、銅など廃棄物量として多く存在することが考えられるベースメタルを中心に悪臭除去能の確認と機構の調査を実施する。また比較対象として活性炭などについても同様の試験を実施し、材料評価を行う。
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