2021 Fiscal Year Annual Research Report
産業廃棄物を原料としたグリコール酸高分率コポリマー創製のための代謝工学戦略
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21H03639
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山田 美和 岩手大学, 農学部, 准教授 (90586398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉森 大助 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (40272695)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エチレングリコール / グリコール酸 / ポリヒドロキシアルカン酸 / バイオプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
エチレングリコールを原料としたグリコール酸(GA)高分率ポリマーの微生物合成系を目指して、本年度は下記3点の成果を得ることができた。 [1] GA合成酵素(FucO, AldA)高活性変異体の作成:大腸菌由来ラクトアルデヒドレダクターゼ (FucO)とラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ (AldA)へのランダム変異導入や酵素の立体構造情報を基としたRational designによる変異導入を試み、高活性変異体の取得を目指した結果、Rational designによる変異体作成では、高活性変異体を得ることはできなかった。しかし、ランダム変異導入を試みた結果、GA合成量が従来の1.3倍向上するFucO変異体を見出すことに成功した。 [2] 複数の大腸菌のミニスケールにおける同時形質転換法の基盤構築:本研究では、大腸菌のKeioコレクションを用いて、GA輸送に関わる遺伝子の特定を行うことを計画しているがそのためには、複数の大腸菌株にfucOとaldA遺伝子を導入し、同時に形質転換する必要がある。本年度は、96ウェルプレートを用いた同時形質転換法を考案し、形質転換可能な条件を見出したが、形質転換効率が低いという課題が残った。 [3] GAポリマー中のGA分率が向上する培養条件等の検討:これまでの研究において、組換え大腸菌における基本的なGAポリマー合成経路を構築することができたがGA分率が非常に低かった。そこで、今年度は宿主となる大腸菌の種類やGA合成用、ポリマー合成用遺伝子を搭載するプラスミドコンストラクト、培養時間等検討を行ったが、これまで以上にGA分率が向上したGAポリマー合成条件は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように、培養条件の検討等によってこれまで以上にGA分率が向上したGAポリマーを微生物合成することは叶わなかったものの、本研究計画で提案したGA合成酵素の機能改変や、細胞外へGAを輸送しにくい(細胞内のGA濃度を向上できる)大腸菌の宿主の選定がGA高分率ポリマー合成に重要であろうことが伺える成果を得た。さらに、今年度、Rational design によるGA合成酵素高活性体を見出すことはできなかったが、ランダム変異導入によってGA合成酵素高活性体を発見することに成功したことから、ポジティブな成果を得ることができた。また、これからの大腸菌の宿主選定に向けて重要な複数の大腸菌のミニスケールにおける同時形質転換法の基盤を構築することができたため、全体の進捗状況としては「おおむね順調である」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
GA合成酵素高活性変異体の作成については、本年度見出したGA合成酵素高活性体の変異点解析等を行い、変異が高活性酵素に及ぼした影響を解明することで、引き続きGA合成量の高い変異体バラエテイを広げる。さらに、本年度基盤を構築した複数の大腸菌のミニスケールにおける同時形質転換法については、形質転換効率が向上する条件を検討して手法を確立させ、KeioコレクションからGA高分率ポリマーの最適な大腸菌宿主を探索する。また、本年度、培養条件等を検討してもほとんどGAポリマー中のGA分率が向上しなかったことから、原因を明らかとするために組換え大腸菌細胞内におけるGA分析・検出系の構築が必要であることが強く示唆されたため、次年度はその点についても新たに着手する。
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