2023 Fiscal Year Annual Research Report
自然共生型過疎地景観の寝かせ方:マルチデータソースによる検証と評価システム開発
Project/Area Number |
21H03656
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
吉岡 明良 国立研究開発法人国立環境研究所, 福島地域協働研究拠点, 主任研究員 (80633479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深澤 圭太 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (90617101)
藤田 知弘 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 主任研究員 (50725603)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 廃村 / 避難指示区域 / 耕作放棄 / 里地里山 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は廃村集落と福島被災地のデータセットを用いて無居住化年数と無居住化時(あるいはそれに近い年代)の土地利用のチョウ類への影響を予測する階層ベイズモデルを改良した。具体的には、階層ベイズモデルのランダム効果の構造について見直してより不確実性を適切に考慮できるようにするとともに、2022年に得られた福島被災地のチョウ類のデータを追加し、また、国際的なデータセットであるHYDE(Goldewijk et al. 2017)の代わりに国内の人口・土地利用変化将来シナリオと親和性の高い国土数値情報による3次メッシュレベルの土地利用情報を用いて無居住化年数と無居住化時土地利用(田およびその他農地)の効果を推定した。 その結果、解析対象となった22種のうち14種において無居住年数の効果の回帰係数の推定値が負の値を示すこと、そのうち3種のチョウについてベイズ信用区間が0をまたがないことが確認された。HYDEのデータを用いたモデルと同様に無居住化年数から負の影響を受けている種が多数派であるものの、そのうち顕著な影響を受けているものはやや絞られる結果となった。一方、無居住化時期の土地利用に関して田以外の農地が正の効果を与えている種が多く見られた。田から顕著な正の影響を受けている種は確認されなかった。 さらに、上記のモデルの予測結果を可視化するツール(シミュレーター)の開発を実施した。このシミュレーターはRのShinyパッケージを用いて構築されており、任意の無居住化年数、土地利用の値を与えることで各種の個体数と多様度指数等の予測値を可視化できるものである。これを用いて、現在の土地利用状況を基に、無居住化後の群集の多様度や特定の種の個体数の変化を簡便に可視化することが可能となった。 加えて、里地里山の生物分布や人口変化シナリオに関するデータの追加的な収集・整備等も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り国内の人口・土地利用変化将来シナリオと親和性の高い国土数値情報を応用した統計モデルの改良ができおり、かつその予測値を可視化するツールも開発できている。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーターを(必要に応じてその基となる統計モデルも)改良し、国内の人口・土地利用シナリオを入力した際の予測結果の可視化をめざすとともに、無居住化による里山生物への悪影響を低減するような里山管理・再生エフォート配分に関して知見を得る。適宜、予測の検証や精度向上、統計モデルの汎用性の検証につながるデータセット及び情報の収集・整備を行う。また、成果やデータの公開・発信を図る。
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