2022 Fiscal Year Annual Research Report
Inclusive low-carbon energy transition in Japan: from the viewpoint of basic energy needs
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21H03667
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥島 真一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (20431653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 誠 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80232809)
吉原 直毅 一橋大学, 経済研究所, 非常勤研究員 (60272770)
山下 英俊 一橋大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50323449)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エネルギー転換 / 気候変動政策 / エネルギー / 貧困 / 格差 / 気候正義 / 気候倫理 / 基本的ニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「包摂的な低炭素化・エネルギー転換」について、人々の基本的エネルギーニーズの享受、という観点から、規範理論的、事実解明的に検討することである。 当該年度は、「基本的エネルギーニーズ」の概念、その評価手法の妥当性について再検討した。具体的には、分配的正義論における「十分主義」(Sufficientarianism)、また「上限主義/限界主義」(Limitarianism)の観点から、(家庭内)エネルギーサービスの適正な利用量を設定するための閾値の数やその手法について再検討し、「エネルギー充足」(Energy sufficiency)を評価するための新しい指標を開発した。本研究でいうエネルギー充足とは、人々が適正な量の(家庭内)エネルギーサービスを享受している状態のことであり、いわゆるエネルギー貧困でもエネルギー過剰でもない状態のことである。 そして、この新指標を用いて、我が国を対象に実証分析を行った。分析結果より、日本において人々はおおむねエネルギー充足の状態にあるものの、必要なエネルギーが得られていない世帯が約8%、またエネルギーを必要な量を大幅に超えて利用している世帯が約4%いることが確認された。 また本研究では、人々の「生計排出」(Subsistence emissions)の分布を推計し、人々が1トンの二酸化炭素排出でできること、について評価した。そして、当結果を用いて、基本的ニーズ充足の必要性の観点から、排出量平等主義(Equal-per-capita view/Emissions egalitarianism)についての批判的考察を行った。 当該年度は、以上のような成果を国際学会等で発表した。現在もこれらテーマに関する研究を引き続き進めており、今後成果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響や、新たな知見の発見に伴う手法の再検討などに時間がとられたため、研究の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果をもとにして、より優れた指標の開発、また実証分析を進めていく予定である。加えて、海外の研究者との国際共同研究を集中的に進める予定である。 以上より得られた成果を、国内外の学会、学術雑誌等で適宜発表する予定である。
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