2023 Fiscal Year Annual Research Report
Time-resolved spin contrast variation for precise nanostructure determination
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21H03741
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| Allocation Type | Single-year Grants |
| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
熊田 高之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (00343939)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元川 竜平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究主幹 (50414579)
岩田 高広 山形大学, 理学部, 教授 (70211761)
廣井 孝介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (70813715)
稲村 泰弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究副主幹 (80343937)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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| Keywords | スピンコントラスト変調 / 中性子小角散乱 / 氷晶成長 / 時分割測定 |
| Outline of Annual Research Achievements |
スピンコントラスト変調中性子小角散乱法 (SCV-SANS)は、中性子の軽水素核に対する散乱能が互いのスピン方向に強く依存する性質を用いた複合材料の構造解析手法である。本研究計画では、この手法に時間分解能を与えることで、より高度なナノ構造情報を引き出す時間分解SCV-SANS(Tr-SCV-SANS)法を開発する。 当初の目的は、高強度のマイクロ波照射直後の複合材料中における特定成分のみが水素核偏極した状態を測定することであった。しかし、スピン拡散が思いのほか早く困難を極めたため、その目標は初年度中に断念した。その代わりに、核偏極に用いるマイクロ波の強度を弱めて偏極度をゆっくりと立ち上げることで、SCV-SANS曲線の核偏極度に対する変化を連続測定する手法を開発し、この手法によって急冷糖溶液中に生成する氷晶と空孔による散乱を明瞭に切り分けることに成功した。本結果はJournal of Physical Chemistry Letter誌に掲載されるとともにプレス発表し、科学新聞1面にも掲載された。 本手法は、食品や細胞組織の凍結保存技術の開発に資する急冷糖溶液中に生成するナノ氷晶の構造解析に威力を発揮し、論文1報掲載(プレス発表含む)にこぎつけた。今後は、凍結防止タンパク質を用いた系でも同様の実験を進め、低分子の糖と高分子の凍結防止タンパク質による氷結晶成長抑制メカニズムの類似点と相違点について言及してゆく。また、J-PARC MLFの中性子小角散乱装置(TAIKAN)の特徴を生かしてSCV-SANSと結晶構造回折測定を同時測定することで、氷晶の外形と結晶構造との相関関係を明らかにする。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
我々は,偏極中性子の軽水素に対する散乱長が水素核偏極度に強く依存する性質を利用したスピンコントラスト変調中性子小角散乱(SCV-SANS)法を開発してきた。本研究課題では、PHを変化させながらSCV-SANS信号を連続測定した後、各時刻におけるPHとSCV-SANS信号を切り出して対比させ、核偏極度におけるSCV-SANS測定を連続的に測定できる時分割測定法(Tr-SCV-SANS)の開発を進めている。当初は時分割測定法の確立に5年を要すると考えていたが、同期システムの構築も容易に進み、思いのほか有益なデータを容易に取得できている。 一昨年までは、核偏極を引き起こすためのマイクロ波の照射とSCV-SANSデータの取得を同期させるシステムを開発した。それに対して昨年は、同システムを用いて急冷糖溶液中に生成するナノ氷晶の散乱を測定した。時分割測定の結果、時間とともにナノ氷晶由来のSCV-SANS信号は連続的に変化すること、偏極途中のPH=18%で氷晶由来の散乱強度を最大値に対して数十分の一にまで減少させることで、他成分由来の散乱と識別することができたこと、7つのPHに対する散乱曲線のフィットから氷晶と共存するガラス中の糖濃度を決定し、そこから氷晶生成温度を決定するなど詳細な解析を進められた。 データは論文にまとめ、Journal of Physical Chemistry Letter誌に掲載された。また同時にプレス発表し、科学新聞1面にも掲載された。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究は、大強度陽子加速器施設(J-PARC)物質生命実験施設(MLF)のプロジェクト課題審査委員会でも高く評価され、24年度も十分なマシンタイムをいただけることになった。装置も順調に稼働し、今後も特別なことがない限り順調に研究が推移するものと思われる。 技術面では今後測定時刻の切り分け方を最適化することにより、複合材料中における特定成分間の散乱長密度がマッチアウトした状態を観測する技術を確立させる。また、小角散乱と結晶構造回折を同時測定することにより、氷晶の結晶構造と外形との相関を議論できるようにする。これまでナノサイズの氷晶では、表面エネルギーの関係からマクロな氷晶が作る六方細密構造ではないことまで分かっているが、面心立方晶を作るか、面心立方と六方細密構造が入り混じったスタッキングディスオーダー晶を作るかなど実験的に判別できていない。我々は、スピンコントラスト変調結晶構造解析法によりその判明を目指す。
試料面では様々な糖の種類、濃度、冷却条件の溶液試料で同実験を進め、糖による氷晶生成阻害メカニズムの解明を進めたいと考えている。また、糖に代わり凍結防止タンパク質を添加した試料においても同様の実験を行い、添加材による結晶成長メカニズムの違いにも言及する。これらの結果を、食品や細胞組織の保存技術の高度化に役立てるように、当該分野の研究者らと協力して研究を発展させていく。
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