2022 Fiscal Year Annual Research Report
Sensitive period for sensorimotor learning: behavioral neurophysiology of bird song acquisition
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21H03781
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 亮輔 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任准教授 (50610929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 千紘 帝京大学, 薬学部, 助教 (00772253)
柳原 真 帝京大学, 先端総合研究機構, 講師 (60392156)
戸張 靖子 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (90453919)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 発声学習 / 敏感期 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、感覚フィードバックに基づき運動を修正する「感覚運動学習」の敏感期を制御するメカニズム解明を目指し、鳴禽類の歌学習をモデルとしてた行動学・神経生理学的研究をおこなっている。鳴禽の歌の可塑性は、若い鳥では著しく高く、成鳥になると大幅に減少する。このことは発達にともなって感覚運動学習の敏感期が終了することを示している。この行動可塑性に対応する神経回路変化の実体と、敏感期の終了を制御する生理化学因子を明らかにすることを目的としている。 2022年度は前年度に構築した行動実験体制に加えて、電気生理計測、血中ホルモン濃度計測を開始した。電気生理計測ではテトロードを用いて歌神経核から2か月に渡って安定的に神経活動を計測する手法を確立した。血中ホルモン濃度計測では、血液採取・血漿抽出保存・抗体プレートによる定量の一連の手法を確立できた。加えて、歌発声に関与する最初期遺伝子発現を調べるためのRNAseq実験に着手した。脳切片より歌神経核内と核外近傍より組織を抽出する手法を確立し、シーケンシングを外注することで最初期遺伝子の発現量を定量できることを確認した。 また、行動実験より得られた歌データの音響解析をすすめた。その結果、騒音群では無騒音群に比較して、騒音停止直後は歌シラブルが未分化であるものの、その後2週間ほどで急激に分化が進むことが分かった。このことは、一定期間感覚フィードバックを遮断することで、感覚運動学習の敏感期が延長した可能性を示唆している。得られた成果について、日本音響学会聴覚研究会などで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は各研究機関での飼育・繁殖体制が整い、また計画遂行に必要な計測手法を確立できた。飼育繁殖を専門に担当する人員を雇い入れるとともに、遺伝子発現の分析について部分的に外注することで、効率的に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に確立した手法・体制を継続し、敏感期とその延長にかかわる行動・内分泌・遺伝子要因を調査する。一方で、2023年度より研究代表者の所属機関が変わることになり、実験施設の使用を継続できず、東京大学における実験は2022度末に飼育・繁殖を含めてすべて終了させた。今後は分担研究者の所属機関(帝京大・麻布大)において動物の飼育・繁殖・実験を継続する。研究代表者は得られたデータの解析に注力するとともに、定期的に分担先機関を訪問して実験を遂行することで、当初計画を滞りなく進められるよう配慮する。
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Research Products
(3 results)