2021 Fiscal Year Annual Research Report
物語的自己に変化をもたらす要因とその神経基盤の解明
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21H03785
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
嶋田 総太郎 明治大学, 理工学部, 専任教授 (70440138)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 物語的自己 / 脳活動計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、物語的自己がどのような要因によって変化するのかを明らかにし、そのメカニズムを認知脳科学的に解明する。哲学者のギャラガーによれば、自己には身体的自己(最小自己)と物語的自己の2つの側面がある。本研究では、物語的自己が身体的自己を介して変化するプロセスに着目し、具体的な課題としてフルボディ錯覚(FBI)と映画視聴を用いる。課題遂行中の脳活動を近赤外分光法および脳波を用いて測定し、デフォルトモードネットワーク(DMN)やミラーシステムなどの前頭―頭頂ネットワークの活動を調べる。これらによって物語的自己の神経基盤を明らかにする。 2021年度はFBIを用いて物語的自己を操作する実験を行った。FBIが起こることによって、アバターの性格や特性が被験者へ移る現象が知られている(Banakou et al., 2018)。本研究では、知的な(医者)アバターにFBIを生起させる条件と一般人のアバターにFBIを生起させる条件、および視覚フィードバックに遅延を入れることで医者アバターへのFBIを阻害する条件間で、エグゼクティブ機能および性格特性にどのような影響が現れるかについての検討を行った。その結果、遅延を入れない場合にはアバターに対する自己身体感が生起すること、知的なアバターに対する自己身体感が強く生起するほどエグゼクティブ機能の向上が起こること、さらに性格特性の変化(「開放性」の増加)が見られることが明らかになった。この結果をまとめて論文誌に投稿を行った。さらにこの脳メカニズムを明らかにするため、同じ実験設定のもと、脳波を測定する実験を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1-Aについて、若干の遅れがあったもののほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は実験1-Aの論文化と実験1-Bを中心に進めていく予定である。
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