2021 Fiscal Year Annual Research Report
NVセンター導入ナノダイヤモンドを基盤とする生体内計測システムの創出
Project/Area Number |
21H03832
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
長田 健介 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 上席研究員 (10396947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 浩之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員 (30354947)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PEG化 / ステルス化 / ナノセンサー / ナノダイヤモンド / NVセンター |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞や体の中の局所でおこっている化学反応を捉えることができれば、生命科学を飛躍的に発展させる基礎知見となるのみならず、その知見を創薬と医療に展開し、健康社会を充実させることにつながる。ナノダイヤモンド(ND)に存在する「窒素-空孔(NV)センター」は、それを可能にするポテンシャルな素材として注目されている。しかしながら、NVセンターが極少量しか含まれないこと、ならびに生体環境中において粒子間ならびに生体物質間で凝集してしまうことが応用への壁となっている。本研究では、電子線加速機を使ってND中にNVセンターを人工的に多数造り込むこと、ならびに高分子化学技術によって生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を修飾し、凝集を抑制するステルス性を付与することを行い、上記の壁を克服することを目的としている。初年度は、生体計測応用に最も汎用的と考えられる粒径50nmのNDに対して、NVセンター増設とPEG修飾法の開発を進めた。NVセンターの増設は、電子線照射により空孔Vを作製し、それを熱処理により窒素Nとカップリングさせる手順で行った。この際、電子線照射量、NVカップリングのための熱処理温度と時間を調節した。加えて、不純物である表面グラファイト層除去のための空気中での熱処理の条件検討も行った。これらの取り組みにより、NV-由来の蛍光強度が増大したNDを得ることが出来た。 並行して、NVを導入していないNDを用いてPEG修飾法の開発を進めた。具体的には、修飾の足場となる官能基をND表面に導入し、PEGを付加反応により修飾した。この際、各種分光法、表面電位測定、酸塩基滴定、熱重量測定、比表面積測定を用いて反応の進行を定量的に解析した。この結果、PEG付加には十分の官能基が導入されていること、ならびにPEGが隙間無くND表面に修飾されていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は、電子線照射によるNVセンター増設とPEG修飾法の開発であった。電子線照射量やNVカップリングのための熱処理温度と時間を検討し、NDの蛍光強度が増加していることが確認された。PEG修飾に関しては、酸化処理によるカルボン酸の導入、アミノ基への変換、PEG付加反応を行うとともに、導入量の定量解析を行い、ND表面にPEGが一定の密度で付加されていることが確認された。このように、今後進めていく高密度PEG修飾のための基盤固めと位置づけた初年度の計画を概ね達成出来ていることから順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
NVセンターの増設に成功したことから、電子線照射条件ならびに熱処理のシークエンス、表層のグラファイト層除去のための熱処理温度と時間などを変数としてNV-由来の蛍光強度が最大となる条件を見出す。他方のPEG修飾に関しては、初年度に成功したPEG付加修飾法を改良し、より効果的にPEG修飾を可能とする反応条件を探索する。得られたPEG修飾NDは、生理塩濃度条件下での凝集挙動や血清タンパク質の吸着挙動を評価し、PEG修飾の効果を解析する。さらに、分子量の異なるPEGの修飾およびその効果を検証し、タンパク質吸着抑制効果の最も優れたPEG分子量を見出すとともに合成法の確立を目指す。
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Research Products
(16 results)