2022 Fiscal Year Annual Research Report
側壁駆動によるマイクロ流体デバイス流体制御システムの統合
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21H03837
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高山 俊男 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80376954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 真 名城大学, 理工学部, 教授 (70224607)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイクロミキサ / マイクロ流体デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は側壁駆動型マイクロミキサ単体の挙動についてより詳細に調査し,寸法変更や複数駆動するための基礎研究を行った.寸法変更については前年度までに,大型化した場合に攪拌力が落ち,円形状のミキサの深部まで渦が成長しにくいことがわかっていたが,その影響として駆動用の側壁が変形することで,ミキサの形状そのものが変わって,流れが曲げられた結果,渦がミキサの奥まで成長しないことが分かった.このため変形後の形状を基準に設計を行ったところ攪拌力の改善が見られた.また複数のミキサを独立に駆動する研究に関しては,一昨年の研究で,高周波で駆動した場合,駆動したミキサの周囲のミキサでも攪拌が起こってしまうことがわかり,この干渉を避けるために,周波数の小さい空気圧で行うことを計画していたが,その後振動の伝達が圧力を伝達するチューブの差込口の形状によって変わることが分かったため,より詳細に分析を行った結果,チューブの差込口の位置やミキサが接続されている主流路の形状を変更することで,高周波でも振動の伝達を抑えることが可能であることが分かった. また側壁駆動型のマイクロポンプを開発し,単体では脈動が発生する蠕動駆動型のポンプを複数用いて互いに干渉させて駆動させることで脈動を抑え,幅30μ,高さ100μの流路内に入れた細胞に近い寸法である径10μmのマイクロビーズをオープンループで3.2~5.2μmの精度で位置制御できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
側壁駆動型のマイクロ流体デバイスとして新たに側壁駆動型マイクロポンプを提案し,フィードバックを伴わないオープンループではあるが細胞のサイズよりも小さい分解能で流体中の粒子の移動ができるようになった.またマイクロミキサの大型化と攪拌力向上のために,どの部位の設計寸法を変更すればよいか定性的に発見し,これを定量的な評価を行うという明確な方針が定まった.さらにマイクロミキサを独立に駆動するための方針として,独立に駆動できない干渉の原因が特定できたため,次年度には独立に駆動する流路設計が行えるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
高周波での干渉を抑える手法について目途がたったため,高周波で複数のマイクロミキサを独立に駆動し,それぞれに異なる任意の濃度の空間を作ることを目標とする.またマイクロポンプと組み合わせることで,異なる試料を流路に流して,異なる試料をそれぞれのマイクロミキサ内で異なる濃度で混合する装置の開発を目指す.またマイクロミキサの大型化については攪拌力を妨げる原因を特定できたため,これを避ける設計について,定量的に評価し,寸法に応じた設計指針を示すためのデータを得,最終的には細胞の塊であるスフェロイドの出し入れ可能な寸法のマイクロミキサで十分な攪拌力を得ることを目的とする.またマイクロポンプに関しては,画像を用いたフィードバックし,ポンプの駆動周期と駆動圧力の二つのパラメータを同時に制御することで,より細かく正確な位置制御に利用できるようにすることを目的とする.またマイクロミキサを用いた粒子の凝集に関しては引き続き,ミキサ内に突起などを設けて凝集できる設計がないか試行錯誤的に探索する.
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