2022 Fiscal Year Annual Research Report
Neuro-trainning to strengthen working memory for developmental disorder
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21H03853
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊良皆 啓治 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (20211758)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ニューロトレーニング / ワーキングメモリ / マルチタスクゲーム / 注意機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ワーキングメモリを強化するためのニューロトレーニング法を開発し、それをシステム化することとともに、脳波や脳血流、心電図など脳神経生理情報、加えて顔の表情や視線の情報を計測することにより、障害者の学習やトレーニング時の注意集中・認知・感情を可視化し、その時々の個人の状態をフィードバックし、精神状態のコントロール行えるようなシステムの構築を目指している。 これまで、ニューロトレーニング法として注意機能を向上させるためのマルチタスクを用いたVRシステム上でのマルチタスクゲームの開発を行った。今年度は、このゲームのトレーニング効果を上昇させるためゲーム中のバックグランドミュージックの影響について調べた。マルチタスクゲーム中のBGMのテンポをタスクの難易度に合わせて変化させ、認知機能への影響を調べた。高めのテンポを使用することで覚醒度、気分、没入感が向上し、タスクの進行に合わせてテンポを変化させることで情報処理への負荷が軽減すること期待できる。ゲーム課題の得点の結果でその効果を評価した結果、テンポを変化させた群ではGo/Nogo課題の成績が高くなった。質問紙調査の結果、課題中の覚醒や気分の変化は認められなかったので、バックグランドミュージックのテンポの変化が、パフォーマンスの増加に効果があることがわかった。 このほかに、ゲーム中に心電図を計測し時々刻々変化する感情を評価するための回帰モデルを考案した。現在、この回帰モデルの妥当性を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画であるニューロトレーニングの方法であるマルチタスクゲームに関しては、プロトタイプのゲームが完成している。タブレット端末にも実装し、このマルチタスクゲームを大学生の被験者を用いて評価した結果、若干の効果があることが示された。しかし、その効果は大きなものではなく、ゲームのデザインや難度など検討すべき点は残されており、改良を行っている。このシステムを大学生に用いた検証実験では、大きな効果は見られておらず、実際のADHDや自閉症スペクトラムなど発達障害を有している子供を対象に検証実験を行い、ゲームの効果を調べることが望まれるが、現在は、まだ実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本ニューロトレーニングの対象としているのは、発達障害児や発達障害までは診断されないグレーゾーンとよばれている子供であるが、これらの対象者に対する評価実験に対してはこれからであり、現在、これらの実験に協力してくれる実験協力者を探している。 また、ゲームをしている最中の脳波、視線情報など、ゲームの成績との関連性を調べることによって、被験者の注意機能の変化を示すモデルの開発を行う。
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