2022 Fiscal Year Annual Research Report
An interdisciplinary study of the dynamics of utterances in social communication in terms of dynamic modal logic
Project/Area Number |
22H00597
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山田 友幸 北海道大学, 文学研究院, 名誉教授 (40166723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 勝彦 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (20456809)
金子 守 筑波大学, システム情報系, 名誉教授 (40114061)
東条 敏 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90272989)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 言語行為 / エージェントコミュニケーション / 証明論 / ゲーム理論 / 人工知能 / 動的義務論理 / 項列様相論理 / 様相述語論理 |
Outline of Annual Research Achievements |
山田と佐野は、項列様相述語論理に等号を追加し、さらに指令と約束の言語行為を表現する動的様相演算子を導入した動的項列義務論理を定式化し、その静的基盤論理に相対的な完全性を証明した。その際、各可能世界に存在する個体の範囲が変化しうる可変個体領域を導入し、個体の存在の偶然性を反映する自然な体系のもとで言語行為の効果の特徴づけを実現した。 佐野はこれに加え、直観主義認識論理に拡張を施した様々な体系に関して、ヒルベルト流公理化の完全性、ゲンツェン流式計算の完全性、カット除去定理などを証明したほか、van Benthem と Liu の関係変化の動的論理を直観主義論理へ一般化し、再帰公理に基づく書き換え戦略による完全性証明、再帰公理の意味を考慮した代替意味論に基づく完全性証明、再帰公理の発想を生かした推件計算の定義を行い、再帰公理の三つの有益な側面を明らかにした。また述語論理のレベルで直観主義論理と古典論理を組み合わせた体系に対してヒルベルト流公理化とゲンツェン流式計算を定義し、健全性と完全性を示した。 東条は、意味論において可能世界間に同値分類を導入し、エージェントの関心外の命題は真偽に差異があろうとも同じパーティションの中におさめることで、アクセスできる可能世界(の同値類)の数を縮小させ、他のエージェントの信念変化が自動的に察知されてしまう現象を回避できる信念論理の定式化に成功した。 金子は、ゲーム理論におけるプレーヤーを理想的数学者とみなすことを避け、他人の状況に自分を挿入して、他人がどのように考えるかを考える行為を取り上げて、社会的文脈の中での信念・知識の発生を論理学の立場から分析することを提案した。また、社会学での ”Symbolic Interactionism” による研究を考慮に入れ、証明論とモデル理論それぞれのアプローチの役割に関する方法論的な視点を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者も各分担者もそれぞれの分担課題の研究を順調に進めており、扱える現象の範囲の拡大と扱いの洗練が進んでいるだけでなく、2022年度の成果が2023年度以降の新たな研究の自然な出発点を示しているため、今後も研究を計画通り進めていくことができる。 具体的には山田と佐野は、常識的様相述語算と項列様相義務論理を融合させたシステムを動的に拡張した常識的動的項列義務論理を2022年度末に論文として発表している。このシステムには、新たな様々な拡張が可能であり、2023年度以降はその作業に着手する予定である。 また東条は2022年度に、各エージェントが顧慮している命題に基づいて可能世界をパーティションに分け、信念修正の手続きを最適化する手法を導入した。2023年度はこの手法に、可能世界を点、パーティションを開近傍と見立てることにより、近傍意味論の視点を取り入れてさらに洗練する研究に着手することができる。 金子は、人の状況に自分を挿入して、他人がどのように考えるかを考える行為を取り上げて、社会的文脈の中での信念・知識の発生を論理学の立場から分析す研究を2022年度に開始した。2023年度はこの研究をさらに進める。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の成果が2023年度以降の新たな研究の自然な出発点を示しているため、今後も研究を計画通り進めていくことができる。 具体的には、山田は、常識的様相述語算と項列義務論理を融合させ、指令と約束を表す動的演算子を組み込んで動的に拡張した常識的動的項列義務論理のシステムに、個体定項の導入や依頼と主張の言語行為を表す動的演算子の導入を行う研究を開始する。また山田は2023年度以降、発話の理解の分析に2022年度の東条の成果を活用する可能性を探る作業も開始する。 佐野は、項列義務論理に、プログラムの構築と関係変更の論理を組み込む拡張の研究や基盤となる等号を持つ静的な常識的項列義務論理の公理化の研究を開始する。 東条は、2022年度に導入した各エージェントが顧慮している命題に基づいて可能世界をパーティションに分け、信念修正の手続きを最適化する手法に、可能世界を点、パーティションを開近傍と見立てることにより、近傍意味論の視点を取り入れて、さらなる洗練を加える。 金子は、人の状況に自分を挿入して、他人がどのように考えるかを考える行為を取り上げて、社会的文脈の中での信念・知識の発生を論理学の立場から分析す研究をさらに進める。
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