2022 Fiscal Year Annual Research Report
勧修寺資料からみた文庫の形成・維持に関する総合的研究ー新たな寺院文化論として-
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22H00611
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
佐藤 愛弓 大谷大学, 文学部, 准教授 (50460655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 俊徳 佛教大学, 仏教学部, 准教授 (00566995)
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40313192)
上島 享 京都大学, 文学研究科, 教授 (60285244)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 寺院資料調査 / 文庫 / 資料群 / 中世文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①勧修寺資料を調査して悉皆目録を作成し、資料群の形成、管理、修補についての情報を分析すること、②勧修寺資料の構造的分析を基盤として、知の集積である資料群がどのような論理で形成されるのかを追求すること、また③分野の異なる研究者が資料群形成という共通の対象について議論を重ねることによって、あらたな研究手法を構築することの3点を目的とする。これらの目的を果たすためには、勧修寺資料調査を継続しつつ、広く国内外の資料群に関する見識をひろげる必要があり、本年度は以下のように研究を遂行した。 ①勧修寺資料が寄託されている京都大学総合博物館において、6月、8月、11月の計3回の調査を行った。その結果、智箱、仁箱、勇箱の計3箱分約150点の書誌データを収集することができ、個々の資料の成立や、修補・保管のあり方についての貴重な情報を記録することができた。 ②ゲストスピーカーを招聘して以下の2回の研究会を行った。 第1回研究会は、2022年6月19日大谷大学において、鎌田智恵氏(花園大学文学部専任講師)をゲストスピーカーに迎え、「歌学注釈と中世日本紀」というテーマで行った。歌学注釈という行為を通してテクストが生産されていくこと、またそのなかで中世日本紀といわれる言説がひろがっていく様相が実例をもって示され、それについての議論が行われた。 第2回研究会は、2022年11月8日大谷大学において、中野顕正氏(弘前大学人文社会科学部助教)をゲストスピーカーに迎え「能楽研究の現在と可能性」というテーマで行った。能楽研究の現状、能楽と寺社縁起とのつながりが実例をもって示され、それについて議論が行われた。 これらの研究会を通して、文化と資料群形成との関係についてあらたな知見が示され、今後の研究推進のために有益な議論を行うことができた。なお研究会の概要については簡略な報告書を作り、参加者で共有している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査、研究会ともに計画通りに遂行しており、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も2022年度同様、①勧修寺資料調査と②ゲストスピーカーを招聘しての研究会を行う。 ①勧修寺調査については、京都大学総合博物館において年3回から4回の調査を行い、代表者、分担者全員で書誌情報の収集を進める。 ②ゲストスピーカーを招聘しての研究会も、年2回大谷大学において行い、資料群の形成と文化との関係について議論を重ねていく。
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Research Products
(8 results)