2022 Fiscal Year Annual Research Report
中世絵師組織の社会的活動基盤と様式系統の相関―十四世紀の縁起・絵伝を結節点として
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22H00617
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高岸 輝 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (80416263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 徹英 青山学院大学, 文学部, 教授 (00321555)
藤原 重雄 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (40313192)
加須屋 誠 京都市立芸術大学, 芸術資源研究センター, 客員研究員 (60221876)
鈴木 親彦 群馬県立女子大学, 文学部, 准教授 (60803434)
井並 林太郎 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部企画室, 研究員 (80747329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 14世紀 / 絵巻 / 仏教説話画 / IIIF / 肖像画 / 真宗美術 / 人文情報学 |
Outline of Annual Research Achievements |
中世美術史に関する単著として、加須屋誠『完本 六道絵巻』が刊行された。十二世紀に後白河院の周辺で制作された「六道絵巻」の多角的分析と伝来の考察を通じ、中世における絵巻の保管、鑑賞、移動の実態が明確となった。 また、昨年度は展覧会という形で、成果の発表が続いた。髙岸輝の監修による「万物流転」展(高松市歴史資料館)は、讃岐・瀬戸内にゆかりのある絵巻(「なよ竹物語絵巻」「春日権現験記絵巻」模本)や寺社縁起(「志度寺縁起絵」「琴弾宮縁起絵」)、大画面の物語絵画(「源氏物語図屏風」「平家物語図屏風」)を集成し、中世の瀬戸内地域おける絵師や絵画の移動について図録論文で検討を行った。井並林太郎による「重要文化財 佐竹本三十六歌仙絵「源重之」収蔵記念特別展 歌仙絵と太刀」展(秋水美術館)、「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺―真言密教と南朝の遺産」展(京都国立博物館)、「親鸞聖人生誕八五〇年特別展 親鸞―生涯と名宝」(同)、藤原重雄による「いにしえが、好きっ!近世好古図録ぼ文化誌」(国立歴史民俗博物館)は、中世絵画そのものの分析とともに、それらの近世における受容を幅広く論じている。展示に出品された中世絵画の作例についても、作品調査を重ねている。 このほか、津田徹英「新出 中世の『遊行上人縁起絵巻』と『源氏物語絵巻』の詞書断簡」は十四世紀を中心とする絵巻詞書の書風を比較検討し、髙岸と鈴木親彦はIIIFを活用した絵巻の顔貌分析に関し、東京大学ヒューマニティーズセンターのセミナーで共同発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単著の刊行、各地で開催された展覧会、共同によるセミナーの開催など、多角的な成果の発信が実現している。
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Strategy for Future Research Activity |
「親鸞聖人生誕八五〇年特別展 親鸞―生涯と名宝」展(京都国立博物館)に関連し、井並、津田、髙岸の共同によるシンポジウムでの報告と討議を行う。また、昨年度に行った調査作品に関する研究発表や論文執筆を順次進めるほか、参加メンバーによる研究会を開催する予定である。
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Research Products
(23 results)