2023 Fiscal Year Annual Research Report
失われた古代青銅鏡製作技法 同笵・笵再利用法の究明
Project/Area Number |
22H00624
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
清水 克朗 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (70235646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長柄 毅一 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 教授 (60443420)
宇野 隆志 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (80739144)
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (90250381)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 銅鏡 / 製作技術 / デジタルマイクロスコープ / 3次元計測 / 鋳造実験 / 鏡笵再利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度実績概要は以下のとおりである。 (1)前年度に引き続きデジタルマイクロスコープによる鏡笵片の観察:前漢時代前半と推定される鏡笵片を拡大観察し、鏡笵材料の製作方法について検討した。この観察結果から砂、粘土、籾殻などを原材料とする複数の製作法を考案し製作実験を試みるも大きな成果には至っていないが、ある程度の方向性が見出された。 (2)銅鏡資料調査の実施:研究分担者とともに複数の銅鏡所蔵機関において資料調査を実施し、多くの観察所見を得た。実施方法は、熟覧、写真撮影、3次元計測で、研究分担者と役割分担し調査を進めた。熟覧は微細な製作技術上の痕跡を確認するための基本的な作業であることから多くの時間を費やすよう努めた。写真撮影では調査後の画像による検証が十分におこなえるように高精細カメラを使用し、ピクセルシフト撮影によって高画素の画像データを得た。3次元計測で取得したデータは、観察所見の検証に使用するとともに本研究の主体となる鋳造実験での鋳型製作や、コンピュータ上での鋳造シミュレーションに活用するため必要不可欠であり、この調査により多くの3次元計測データを収集することができた。 (3)実証実験に向けての作業実施:資料調査で得た成果物の整理作業として、銅鏡観察記録のデータ化、撮影写真の整理、3次元計測データの編集をおこなった。いずれも専用ソフトウェアを利用して、研究成果公表のための基礎データとした。さらに実験用の地紋のみを再現した銅鏡3Dデータを作成し実験用鏡笵作成の準備を進めた。現在、調査所見を踏まえた研究成果として、鏡笵再利用技法に関する投稿論文を作成している。また、これらの所見をもとに鋳造実験の方針についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
考古資料の整理に時間を要し実証実験を軌道に乗せるまでに至っていないが、多くの考古資料調査から得た知見から製作技法の考察を深めることができ、その成果を論文と学会での口頭発表により公開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度におこなった鏡笵材料の検討と資料調査で得られた知見をもとに、本研究の要である笵材焼成後加工を見据えた3D切削機による切削加工鏡笵製作と、これを用いた鋳造実験を実施することを推進していく。合わせて資料調査も継続して行い、調査成果の蓄積とその整合性の検証をおこなっていく予定である。
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