2022 Fiscal Year Annual Research Report
The Neural Basis of Second Language Acquisition through Social Interaction with Others: Commonalities and Particularities of Oral and Written Interaction
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22H00674
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 渉 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (60549640)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第二言語コミュニケーション / fMRI / 発話 / 神経基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
外国語によるコミュニケーション能力は他者との相互作用を通じて習得されることが知られており、その神経基盤モデルも構築されつつある。本研究では、fMRIを用いて口頭及び筆記による他者との言語コミュニケーションに関与する神経基盤を解明し、モデルの精緻化を図ることを目指している。具体的な研究課題は、口頭の相互作用に関する神経基盤の解明、筆記の相互作用に関する神経基盤の解明、及び学習者の個人差が神経基盤に及ぼす影響の解明である。これらの研究課題を解明するために、2022年度は言語コミュニケーションにおける発話のダイナミクスに関与する神経基盤を検討する言語自由発話実験をfMRIを用いて実施した。第二言語話者が難しい状況において自分の意見と決定を相手に口頭で伝える発話課題を設定し、自由発話を行う際の認知メカニズムを検証するfMRI実験を行った。状況によって選択の難易度が異なる2種類の課題を準備し、参加者はMRI内で状況が示された画像を見ながら、他者に向かって自由に意見を英語と日本語で述べる課題であった。MRI内での発話は、MRIで使用可能なノイズキャンセルマイクを用いて録音され、発話時のポーズの数、長さ、位置によって相関する脳活動の分析を行った。その結果、文と文の間には概念や内容を考える際に関与する脳領域の活性化が大きく、英語と日本語の両方に共通して発話を進行するために重要な役割を担っていることが明らかになった。さらに、文中においては、言語産出が自動化されていない第二言語の英語は、日本語に比べて単語の選択や文の構造に関与する言語的負荷が高くなることが脳内で検出された。これらの結果は、自由発話課題における認知メカニズムのダイナミクスを示すものであり、一部の成果は2023年3月にアメリカ応用言語学会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者募集やMRI予約の関係で実験実施が3ヶ月遅れたが、概ね計画通りに実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に実施された言語自由発話実験のさらなる分析と論文執筆を行う予定である。また、2023年の後半には、第二言語の言語コミュニケーションにおける相手の態度理解がどのように行われているかを検証するfMRI実験を実施する。この実験では、MRI内で話者の多様な態度が現れている談話を聞きながら、態度を理解する課題を実施し、言語コミュニケーションにおけるプロソディの役割について検討する。 2023年後半は、筆記コミュニケーションのfMRI実験を実施するため、先行研究の精査、実験プロトコールの倫理委員会審査の準備、実験刺激の作成、実験プロトコールの確定などを行う。2024年2月ごろにはfMRIパイロット実験を実施する予定である。
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