2022 Fiscal Year Annual Research Report
日韓の歴史教科書及び博物館歴史展示等における植民地支配関係記述の比較研究
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22H00696
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
梅野 正信 学習院大学, 文学部, 教授 (50203584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久留島 浩 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 特任教授 (30161772)
福田 喜彦 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (30510888)
真島 聖子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10552896)
大浜 郁子 琉球大学, 人文社会学部, 准教授 (60459964)
新福 悦郎 石巻専修大学, 人間学部, 教授 (20734122)
蜂須賀 洋一 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (20824238)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 歴史教科書 / 博物館展示 / 戦後補償裁判 / 植民地期 / 日韓共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日韓両国の中学・高校用歴史教科書における日本による植民地期関係の記述を取り出し、植民地支配を特徴づける項目ごとに整理、比較、分析を加え、根拠資料に遡って史料、博物館展示、政府見解・声明等の公的対応、戦後補償裁判等について検討し,両国で広く共有可能な記述及び根拠資料を整理した。 研究前半期となる2022年度には、①日本の日韓の共同調査研究により、2000年以降に発行された日本の中学校社会科歴史的分野、高校日本史A及びBの検定教科書を対象として、植民地期に関する主要な歴史的事項を、内容項目ごとに細分化して分析・整理し、さらに②韓国側研究者の協力を得て、韓国の高校で最も広く使用される検定韓国史教科書を事例として、日本の教科書記述と比較可能な形に分析・整理することで、③同一の歴史的事実に対する、日本の検定教科書にみる記述の特徴と根拠資料、同様に、韓国側教科書における記述の特徴と根拠資料を比較・検討した。 ①②③の共同研究を日韓相互に積み重ねた成果、④両国の検定教科書で共通に教授されることを公認された歴史的事実及び事象とその根拠資料をふまえ、両国で共有可能な資料の提案を、日本側提案に限ってではあるが、『日本と韓国の自国史教科書における植民地期関係記述』としてまとめることができた。 また、あわせて、⑤日韓両国の博物館展示、政府見解・声明等の公的対応、戦後補償裁判等についても、両国で共有可能な記述及び根拠資料を検討する事ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2022年度研究は、日本側提案が多くを占める形で、植民地期の朝鮮半島に関する歴史教科書記述の特徴と韓国の検定教科書との記述タイトル・内容の比較、日韓で共有可能な史料・資料の提案を、冊子体による『日本と韓国の自国史教科書における植民地期関係記述』(2022年9月)にまとめることができた。具体的には「第二次日韓協約を中心とする植民地化の過程」、「韓国併合」、「三・一独立運動への弾圧を中心とした「武断的」支配」、経済的収奪を中心とした植民地収奪」、「日本式姓名や古跡を強要した創始改名、日本語の強要、神社創設と遥拝等の強要などの同化・皇民化政策」「関東大震災を中心とした在日朝鮮人への差別的虐殺」「慰安婦や強制連行を含む戦後補償裁判の対象行為」などについて、それぞれ、日韓両国で共有可能な史料・資料の提案である。また、「歴史用語の記号論」「博物館歴史展示」など、研究分担者の専門性からの各種提案を得ることもできた。 2022年度研究では、これに加えて、2023年に予定される、韓国側提案を中心とした直接対話・合同シンポジウムに向けて検討を開始することができ、これらより、繰り越し予算を受けて、韓国側提案の整理、予備的な意見交換、翻訳等の準備を進めることができた。 このことから、当初の計画以上に研究の進展を確認することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、2022年度及び繰越経費を用いて、事実上の国際シンポジウムとなる、日本側と韓国側との合同シンポジムを、2023年7月に東京で開催する事について、両国研究者間で合意することができたため、日韓両国で共有可能な、とりわけ植民地期の実態を正確に共有するために不可欠かつ効果的的な根拠資料の確認と意見交換を行う見通しとなった。 また本研究が、1990年代から続く、日韓両国の教科書比較研究の成果と課題を引き継ぐものであることから、同共同研究の関係者を招聘する準備をすすめ了解を得る事が出来た。 2023年には、本研究の成果の中核部分が研究成果として形をなすことができるよう最大限尽力する心積りである。
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