2023 Fiscal Year Annual Research Report
Economy of bodies and the environment in modern Europe
Project/Area Number |
22H00705
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
春日 あゆか 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (30792220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 秀元 立教大学, 文学部, 特任准教授 (00840117)
高林 陽展 立教大学, 文学部, 准教授 (30531298)
東風谷 太一 一橋大学, 社会科学古典資料センター, 助教 (50801198)
福元 健之 福岡大学, 人文学部, 講師 (70802255)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 身体 / 環境 / ヨーロッパ / ビジネス |
Outline of Annual Research Achievements |
身体や環境に公権力が介入するあり方は、近代以降複雑化している。特に、自由主義的社会では直接的な介入に一定の制約があり、人々の行動変容を促すような間接的な介入も重視される。その際、専門家などの知識が大きな役割を果たすことも多い。また、ここで見られる権力関係は公権力と個人の二極だけで説明できるものではなく、様々な中間団体・組織が関与する。先行研究でも様々な中間団体・組織の関わりが論じられてきたが、本研究では、これまで十分に研究がなされてこなかった経済主体(ビジネス)を扱う。 2023年度は4年計画の2年目にあたった。研究計画では、国内の学会・研究会で暫定的な成果を発表し、コメントを求め、研究に反映しつつ史料調査と分析を継続する計画になっている。研究代表者は国内の研究会(身体・環境史研究会)で身体や環境への介入に関する先行研究のレビューを行いつつ、これに関する事例研究としてイギリスの煤煙問題とそれへのビジネスの対応について暫定的な報告を行った。 また、身体や環境への介入におけるビジネスや市場の役割について、研究代表者と研究分担者の間での理解を深め、また研究の必要性を明確化するためにも、このテーマについての文献レビューを共同で執筆する計画を初年度に追加的に立てており、2年目である2023年度は、これに特に注力した。研究代表者は身体や環境への介入がどのようなアプローチでこれまで研究されてきたかについて文献調査を行い、ミシェル・フーコーに影響を受けた統治性に関する研究やリベラルガバナンスに関連する研究を調査した。これらの先行研究から、自由主義社会では身体や環境への間接的な介入が重要な意味を持つとの視点を得、ビジネスや市場との関係からさらに研究を進展させる必要性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にあたる2023年度は国内の学会・研究会で暫定的な成果を発表しつつ、研究を継続する計画であった。これについては、実際に研究代表者が国内の研究会での発表を行い、コメントを得て研究に反映したほか、研究分担者の一部も学会発表を行って暫定的な成果を発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度から継続してレビュー論文の執筆作業を共同で行い、学術雑誌で発表する計画である。このレビュー論文で関連する先行研究の議論を整理することと並行して、各人の事例研究を進めていく。 また、2024年度には可能であれば国際学会で本テーマのパネルを設置して議論を行うことを計画しており、パネルのプロポーザルを提出した。プロポーザルが通った場合は、研究代表者が身体と環境への介入とビジネス・市場について概観しつつ、研究分担者が事例研究について発表することを計画している。
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