2022 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-element isotope analysis reveals prehistoric resource use and social structure
Project/Area Number |
22H00739
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石丸 恵利子 広島大学, 総合博物館, 研究員 (50510286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陀安 一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)
申 基チョル 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
日下 宗一郎 東海大学, 人文学部, 講師 (70721330)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 同位体分析 / 多元素 / 動物遺存体 / 土器 / 資源利用 / 移動 / 交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
土器と動物遺存体の利用実態からヒトの移動や文化圏などの社会動態を追究する本研究課題において、今年度は、土器の分析と資料調査を中心に研究を進めた。前年度までに課題となっていた前処理別の同位体比と元素濃度の関係について確認をおこない、適切な前処理方法について検討した。また、対象とする遺跡資料選定のため、中国、四国、近畿地方の縄文・弥生土器研究の動向について研究分担者や協力者と情報交換する会、また研究成果を発表するなどの研究会を計4回実施した。研究会では同位体分析の原理や試料サンプリングの方法などについても解説し、土器研究者を中心とする参加者に対して分析化学の利点や可能性について理解を深める機会とした。 今年度の具体的な分析対象地域として西条盆地(広島県東広島市)を取り上げ、これらの地域の土器粘土産出地の推定を試みた。2遺跡から出土した弥生土器と周辺土壌の同位体比分析と砂粒分析、元素濃度分析を行い、粘土産出地について考察した。これらの結果の一部については1件の論文内で報告した。土器に係わる成果発信としては、1件の学会発表を行い、次年度1件の発表を予定している。 また、動物遺存体を対象とした考察については、新規資料の測定は進められなかったが、これまでに得られた哺乳類の歯エナメルの同位体分析の結果を用いて、中国山地所在の縄文遺跡での同位体比からみた狩猟域について考察した成果を書籍内で紹介した。ここで今後の課題と方向性を整理したうえで、すでに収集を終えている資料から次年度分析するための試料サンプリングの準備を進めた。貝類の分析においては、参考文献の収集に努めた。その他、動物遺存体を対象とした資源利用に係わる研究成果の発信としては、1件の論文と2件の学会発表を行った。次年度もすでに1件エントリーを済ませ、国際学会での発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的やその方法について研究協力者と情報共有し、分析資料の選定について議論することや、各地での資料見学は予定通り実施することができた。また課題であった土器の同位体比を測定するうえでの適切な前処理方法の確認作業も進めることもできた。しかし、これらの処理、測定、考察に予定よりも多くの時間を費やしたため、その他の分析対象である動物遺存体(歯エナメルと貝殻)資料の調査や測定を予定通り進めることができなかった。そのため研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度情報共有した土器の研究動向を踏まえ、研究代表者が中心となって分析対象とする他の地域での土器と動物遺存体のサンプリングを第1優先で行い、順次、各同位体比の測定を進める。昨年度課題として残った、動物遺存体の同位体分析、特に貝類については、研究分担者と情報交換を行い、一部の前処理(貝殻の前処理)が簡易の設備で行うことができそうであることから、これらの作業工程の確認を研究分担者機関で早い段階で行い、測定の効率を高めることができるよう、これらの作業も優先して進める。 また、研究分担者や研究協力者間だけでなく、広く情報発信する機会を設け、経過報告や成果発信を行うとともに、これまでの成果を論文化することも優先して行う計画である。
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