2022 Fiscal Year Annual Research Report
地域の災害リスクを踏まえた教材開発による防災教育の高度化とその実用性の検討
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22H00753
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
牛山 素行 静岡大学, 防災総合センター, 教授 (80324705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 圭一郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (60377083)
堀 和明 東北大学, 理学研究科, 教授 (70373074)
高橋 信人 宮城大学, 事業構想学群, 准教授 (90422328)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 風水害 / 地理総合 / 防災教育 / センター試験 / 素因 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は本研究の導入として、高校「地理」や「地理総合」において災害、防災に関する内容がどのように取り扱われているかを客観的に把握するため、各社から刊行されている6冊の「地理総合」教科書の本文のうち、災害をもたらす自然現象や災害それ自体、また防災に関わると思われるページに含まれる文章をテキスト化し、計量テキスト分析を行った。その結果、「地震」などの災害をもたらす現象(誘因)に関わる語句は多く見られたが、災害が起きうる場所や条件(素因)に関わる語句は出現頻度が低く、特に人口など社会的な素因についてはほとんど記述が見られていないことなどがわかった(高橋ら,2023)。また同様な問題意識から、近年の大学入試センター試験・共通テストの地理A、地理Bの問題のうち災害に関連すると思われる問題の内容分析を行った。その結果、平成28年問題以降に災害関係の出題が増えており、取り扱われている災害や災害をもたらす現象としては、地震、津波、風水害などが多く見られていた。素因・誘因という観点で分類すると、地理Bでは誘因に関する出題が多く、地理Aでは誘因とともに素因に関する出題や、誘因と社会的な素因を組み合わせた出題も見られることがわかった(小関ら、2023)。このほか、近年の風水害を対象として、被害の発生した場所の特徴についての現地調査(牛山、2023など)も行い、近年の風水害においても被害は地形的な素因がある場所で発生していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地理総合の教科書や、センター試験・共通テストの内容分析については概ね計画通りに進行しており、分析結果を今後論文等でとりまとめていくことを考えている。風水害による被害と自然条件、社会条件との関係についても調査に着手しており、今後その結果をとりまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
高校の教育現場における「地理総合」での災害関係の取り扱い状況の実態調査についての準備に着手しており、2023年度以降に事例となる学校の選定と聞き取り調査を行う予定である。また、事例校付近での災害に関わる自然条件、社会条件についての調査を行い、教材化に向けた検討に着手したい。風水害と自然条件、社会条件の関係については最新の事例についての調査を引き続き進めるとともに、メッシュデータなどを活用したマクロな視点での分析も試みたい。
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[Book] 地理学事典2023
Author(s)
公益社団法人日本地理学会 編
Total Pages
842
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30793-9
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