2022 Fiscal Year Annual Research Report
地方活性化に向けた韓国地方都市の時空間ダイナミズムに関する研究
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22H00761
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
兼子 純 愛媛大学, 法文学部, 教授 (40375449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 暁子 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (10715642)
山下 亜紀郎 筑波大学, 生命環境系, 助教 (60396794)
駒木 伸比古 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (60601044)
金 延景 立正大学, 環境科学研究所, 客員研究員 (70847087)
山元 貴継 琉球大学, 教育学部, 准教授 (90387639)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 地方都市 / 韓国 / 時空間ダイナミズム / 土地利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はコロナ禍であり,デスクワーク中心のデータ分析と遠隔ツールを用いた研究会の実施が中心となった。遠隔ツールを用いた研究会を8月に2回,香川大学(9月)および愛知大学(12月,1月),筑波大学(2月)で対面による研究会を実施し,韓国地方都市のマクロスケールでのデータ分析に関する方法論を議論し,大韓民国統計庁のデータに関する情報提供を受け,データ分析班を中心に統計データを用いた分析と市街地の拡大や形状の把握を行った。Landsatで,1995~2000年頃と2015~2020年頃の2時期で衛星画像を解析した。歴史都市分析班を中心に,都市の歴史的変遷に関して既存資料から都市の類型を行うための作業準備を開始した。 2023年2月に韓国・仁川大学校人文学部において,「日韓地方都市研究の課題と展望」と題する日韓国際セミナーを開催した。同セミナーでは,日本側から研究代表者と研究分担者2名が,科研費研究の趣旨,日韓の地方都市構造の研究視点,市街地の空間的変化に関する研究発表を行った。韓国側からは,脱首都圏による地方都市活性化,近代産業都市の仁川における産業遺産の保存と活用,石炭産業都市から縮小都市に変貌した慶尚北道の聞慶に関する研究報告があり,韓国地方都市の現状と活性化方策に関する議論を行った。 2023年2月に次年度の調査候補地の予備調査のために全羅北道南原市,全羅南道羅州市,麗水市を訪問し,各都市の都市構造に関する資料収集を実施した。これらの予備調査の成果を東京都立大学での研究会(3月)で共有し,次年度の調査計画を設定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で,前期に対面での研究会を実施できなかったことと,8月に予定していた予備調査を2月に延期することになったため,現地調査の計画を変更し予算を次年度に繰越すこととなった。前期の研究会は遠隔ツールを用いることにより活発な議論が交わされ,マクロスケールでの衛星画像分析は想定以上の作業成果を上げることができた。後期は対面での研究会を複数回実施することで,韓国の地方都市の都市分類に関する先行研究レビューと現地調査の方向性を確認することができている。2月に実施した国際セミナーでは,韓国地方都市に関心を有する隣接分野の研究者も含めて,活発な議論を交わすことができた。その成果とアドバイスをもとに予備調査を実施し,次年度以降の調査地選定と調査案を設定した。
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Strategy for Future Research Activity |
テスト2023年度は前年度の研究成果を受けて,全国スケールでの統計資料分析と歴史資料分析から地方都市の類型化と人口減少地域の抽出を試みる。都市圏スケールでの分析では,人口が減少する地方都市における市街地の空間的変化を明らかにするために,Landsat7のデータを用いて土地被覆の分類から都市域の変化を解明する。 上記の広域スケールの分析から,対象とする事例地方都市を選定し,よりミクロな範囲で詳細な実態分析を行う。前年度に予備調査を行った全羅北道南原市は周辺を山地に囲まれ古くから独立した商圏を保つ中心地として発展してきたが,近年では著しく人口が減少している。一方で,中心市街地の商業機能は維持されているようにも観察できるため,この状況を現地の土地利用調査と行政関係者,商業関係者へのインタビュー調査から明らかにする。現地調査は8月下旬から9月前半,および2月後半から3月前半を予定している。 上記の各研究グループでの調査成果を随時共有しつつ,韓国側の研究者も交えた遠隔ツールを用いて月1回の研究会を実施する。現地調査の準備と分析結果の報告会を国内で実施する。
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