2022 Fiscal Year Annual Research Report
Transport Security: Developments and Issues in the Indo-Pacific Region
Project/Area Number |
22H00814
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 亮 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (80933019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAMONT Christopher 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (00832924)
池内 恵 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40390702)
小泉 悠 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (10817307)
Ordaniel Jeffrey 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (10869473)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 安全保障 / 交通政策 / インド太平洋 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目となる昨年度は、本プロジェクトの準備と予備調査が中心となった。研究環境の整備においては、東京大学先端科学技術研究センターにパソコン周辺機器等の設備備品等を調達し、補助研究員も雇用した。予備調査においては、まず研究代表者及び研究分担者が国内で共同研究会を組織し、本プロジェクトの目的・目標、内容、各々の役割等に関して確認した。海外研究協力者との連携においても、特にシンガポール南洋工科大学S. Rajaratnam School of International Studies(RSIS)のColin Koh博士とJohn Bradford氏、Rabdan AcademyのWu Shang-Su博士、American Enterprise InstituteのZack Cooper博士とも密に意見交換を行い、研究ネットワークの構築も順調に進んだ。海外出張においても、新型コロナのによる制約があったものの、研究代表者と分担者がオンラインで日本、シンガポール、米国、オーストラリアの専門家・実務家、そして国際民間航空機関(ICAO)等の国際機構と意見交換を行い、オーストラリア、北米、フィリピン等で海外調査や専門家等と会議を実施した。また、研究代表者と密接な研究協力関係にある米ハワイ州の安全保障専門シンクタンク、Pacific Forum Internationalと東京大学先端科学技術研究センターは2022年7月に学術交流覚書を締結したため、より密に連携、交流、協力できるようになった。その他にも、研究代表者はシンガポールのRSISや米国のAtlantic Councilとも様々な共同研究を行った。研究成果物においては、特に研究代表者と研究分担者であるChris Lamont教授が交通の安全保障に関連する学術論文やコラムを発表・掲載し、動画配信サイトでも関連する動画を発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目の主な目的であった、本プロジェクトに係る研究環境の整備と予備調査が計画以上に進められたと考えている。新型コロナの影響により、海外での研究活動等においては様々な制約があり、当初の計画通りには至らなかったが、その分、他の面で進展があった。特に国内外の専門家と実務家を集った研究ネットワークの構築においては、当初の計画以上の専門家と密な関係を築き、意見交換や交流を行えるようになった。また、昨年度では分担研究員との連携がうまく取れ、また当初の想定以上のプロジェクトが計画できた。中でも、東京国際大学のChris Lamont教授とは緊密な連携を築き、交通安全保障に関する英文の編著の土台作りを進めることができた。このため、研究分担者だけでなく、国内外の研究協力者との交流や、研究会議への参加及び開催に向けた土台が十分にできたと考えている。また、研究能力においても、東京大学先端科学技術研究センターで既に整備されているデーターベースや高解像度衛星画像等のオンラインサービスの活用、そして研究代表者が一つの専門としている政策シミュレーションを通じて、研究方法と活動の幅が広がった。予備調査においても、交通政策・情勢・事情だけでなく、インド太平洋地域における安全保障問題に関する、2・3年目の研究で大きく活用できる貴重な資料を収集することができた。研究成果物においても、インド太平洋地域における交通・安全保障問題に関する数々の学術論文、コラム等を発刊できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目では、1年目の研究環境整備と予備調査に基づき、交流と発信に向けた本格的な研究活動を進めるとする。特に、民間航空保安に加え、海洋安全保障、鉄道保安、そしてインターモーダル(複合一貫輸送)・システムに関する安全保障上の課題に焦点を当てる。研究においては、1年目に実施した予備調査に続き、研究代表者及び研究分担者が各々の専門分野において国内外でデータ・情報収集と分析を行い、国内外の政府機関の刊行物や発表、研究機関や専門家による分析結果等を用いた文献調査や、交通インフラ、運航会社や運営機関、防衛・治安機関等でインタビューや研修(例:シンガポール民間航空庁の研修プログラム)を行う。また、今年度からは、研究代表者及び研究分担者や研究協力者、そして実務家を交えて政策シミュレーション(机上演習)を通じた研究も実施し、交通の安全保障に関わるシナリオ等について調査する。研究成果物においては、論文、コメンタリー、単著・編著等に加え、国内外の安全保障及び交通政策関連学会やフォーラム等にも積極的に参加し、研究成果や見解を発信する。特に、研究代表者自身が進めている海洋安全保障戦略に関する研究に加え、研究分担者であるクリス・ラモント教授(東京国際大学)と編著する交通安全保障に関する書籍も進めていく。また、東大先端研創発戦略研究オープンラボのプロジェクトの一環として今年度に設立し、研究代表者が座長を務める「国際タスクフォース:『海洋・交通の安全保障の構想』」を中心に研究分担者と国内外の研究協力者や多分野の専門家と意見交換や研究報告を行う。研究ネットワークにおいても、更に多くの国内外の専門家と連携する予定である。
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