2022 Fiscal Year Annual Research Report
国際開発援助体制の変容と開発途上国のナショナル・ガバナンスの相互連関に関する研究
Project/Area Number |
22H00819
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
稲田 十一 専修大学, 経済学部, 教授 (50223219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 裕子 東海大学, 政治経済学部, 教授 (00546111)
渡辺 紫乃 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10582637)
近藤 久洋 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (20385959)
笹岡 雄一 明治大学, ガバナンス研究科, 専任教授 (40397104)
岩田 拓夫 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60375384)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際開発援助体制 / グローバルガバナンス / ナショナルガバナンス / 新興ドナーと伝統的ドナー / 民主化と権威主義化 / 国際規範とルール / アジア・アフリカの比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、21世紀に入ってからの伝統的ドナーと新興ドナーの影響力や関係の変化、開発をめぐる新たな国際規範の登場や伝統的ドナーが担ってきた国際規範とのせめぎ合いなど、国際開発援助の秩序の変容とその変容ダイナミクスに関する国際システムレベルの研究課題に焦点をあてる一方で、それが途上国国内のナショナル・ガバナンス(民主化やガバナンス、市民社会の変容など)にどう影響してきたかという国内レベルの具体的な事例研究を進め、その両者の間の連関に関する仮説を設定し、比較研究をしながら具体的に仮説を検証・整理し、理論的な体系化をおこなうものである。 文献調査やウェブでの資料入手などの方法も併用して各自で個別研究をすすめる一方、研究会やセミナーの開催などを通じて、各研究メンバーの研究成果を発表し合って議論を進めた。また、各研究メンバーの得意な分野・地域・国を勘案しながら事例研究を実施すると共に、その成果を互いに持ち寄り、横断的に比較検討を進めている。また、国内外の関連研究者に報告を依頼し、本研究テーマに関連する海外(ドナー国と開発途上国双方)の研究者・研究機関との研究ネットワークの強化を進めるとともに、関連議論を整理し理論的な仮説やその検証のための課題を明らかにする努力を進めてきた。 具体的事例国として、アジアではカンボジア・スリランカ・マレーシアなど、アフリカではエチオピア・ルワンダ・コートジボアールなどを事例研究としてとりあげ、分担して詳細な研究・調査を行ない、日本国内・先進国・途上国の関連専門家とのネットワークを生かしながら、研究メンバー全員で議論を進め、横断的な理論化を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一段階として、文献調査やウェブでの資料入手などの方法も併用し各自で個別研究をすすめながら、研究会やセミナーの開催などを通じて、各研究メンバーの研究成果を持ち寄り、また国内外の関連研究者に報告を依頼し、関連議論を整理し理論的な仮説やその検証のための課題を明らかにした。また、各研究メンバーの得意な分野・地域・国を勘案して事例研究を実施すると共に、その成果を互いに持ち寄り、これらを横断的に比較検討した。また、同時並行で、本研究テーマに関連する海外(ドナー国と開発途上国双方)の研究者・研究機関との研究ネットワークの強化をすすめた。 具体的事例国として、稲田はカンボジア・東ティモールなど、笹岡はマレーシア・ケニアなど、岩田はエチオピア・コートジボアールなどの開発途上国での現地調査を実施し、また稲田および渡辺は米国での長期滞在などを通じて、世界銀行・IMFなどの伝統的ドナーの政策を研究すると共に、中国が主導する一帯一路やAIIBの国際開発援助体制に対するインパクトを研究し、幾つかの論文や書籍で研究成果を発表している。こうして、研究メンバーが分担して詳細な研究・調査を行ない、日本国内・先進国・途上国の関連専門家とのネットワークを生かしながら、研究メンバー全員で議論を進め、横断的な理論化を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、文献調査やウェブでの資料入手などの方法を併用し研究メンバー各自で個別研究をすすめる一方、研究会やセミナーの開催などを通じて、各研究メンバーの研究成果を持ち寄り、また国内外の関連研究者に関連テーマの報告を依頼し、関連議論を整理し理論的な仮説やその検証のための課題を明らかにする。また、具体的な事例研究の横断的な比較を通じて、体系化のための検証・分析事項を明らかにする。 1年目および2年目に実施した、研究分析対象のドナー国や開発途上国への現地調査について、更に追加の文献調査をおこない、必要に応じて追加的な現地調査を実施することによって、事例研究対象国における援助の実態とその経済社会及び政治外交に対する影響・インパクトなどについて更に研究を進め、その成果を互いに持ち寄り、これらの研究成果を、各自で論文としてとりまとめる。 これらを横断的比較検討し、関連する要素(説明変数)間の相互関係、因果関係の有無や論理的つながりについて検証し、メタ理論(中範囲の適用可能性を持つ理論)として整理・体系化をおこなう。それらをとりまとめた報告書を作成し、学会などでの報告を目指す。 また、同時並行で、本研究テーマに関連する海外(ドナー国と開発途上国双方)の研究者・ 研究機関との研究ネットワークの強化をすすめ、最終年度に計画している、国際会議での報告と英文での研究成果の発表の準備を進める。
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