2023 Fiscal Year Annual Research Report
Optimal public investment policy under population decline
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22H00841
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
玉井 寿樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (00456584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
新居 理有 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (70590462)
藤田 真哉 名古屋大学, 経済学研究科, 准教授 (80452184)
上口 晃 近畿大学, 経済学部, 准教授 (90781344)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会資本整備 / 人口減少社会 / 所得再分配政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人口減少社会において、経済の生産性を維持し公平かつ安定的な富の分配を実現する基礎となる社会資本整備のあり方を明らかにすることである。本年度は社会資本投資の財源調達を考慮した経済分析と所得分配面に着目した経済分析を進めてきた。 その結果として、査読付き論文が6編が公刊された。また、 成果の一部は学会報告として国内外の主要学会にて報告されている(年次大会・研究集会など計9回)。 研究の主要な結果としては高齢化、将来予想、地域間競争などの現実的な要素を加味したインフラの望ましいあり方が明らかになった。具体的には、(1) 地域間競争について考慮した経済モデルをにより、雇用創出問題を加味した地域間競争下にあっては資本流出入に関連した雇用外部性の大きさによってはインフラ整備による政策競争が社会的に望ましくなることが示された。(2) 公債による財源を想定した場合に、利子率が成長率を下回る状況を想定し、建設国債によるインフラ投資が社会厚生を改善するための条件を導出した。(3)さらに、将来予想に関するバイアスが存在する場合に、民主主義的意思決定のもとで望ましいインフラ投資の政策ルールを導出した。これらに加えて、基礎的研究と関連して、(4)所得分配に関する研究成果と(5)国際貿易に関する研究成果も得られている。これらにより、財源調達や所得分配を考慮した場合の最適なインフラ政策のあり方が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はの2つのワーキンググループの研究活動を軸にして、PFI (Private Finance Initiative) を含む社会資本投資の財源調達を考慮した経済分析と所得分配面に着目した経済分析を実施してきた。先の研究実績において詳述した通り、概ねこれらの目標に沿った研究が完了している。このような理由から、研究の進捗状況については概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、これまでに2つのの研究グループで検討した個別の課題に関する経済モデルを包括的な経済モデルに発展させる。また、統合された課題について社会資本整備に関する最適政策を導出することを目指している。それと同時に量的な政策効果を検証するために、経済モデルの解析・ 数値シミ ュレーションを進める。具体的には国内外の学術集会における最新の研究知見の収集及び分析を行い、研究組織及び組織外の共同研究者との意見交換を通じて、上記の研究を進めていき、適切なモデル設計を行うとともに、社会資本の蓄積を通じて所得分配をはじめとした経済活動に与える影響を明らかにする。2025年度は、拡張された研究ネットワークを活用し、研究組織内外との活発な議論によりこれまで の研究成果の精緻化をすると。また、現実に適応可能な最適政策を命題として確立する。さらに、本 研究課題の総括としての研究集会を開催するとともに、国内外の研究者との意見交換を通じて、研究成果から導かれる政策的知見を抽出する。
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