2023 Fiscal Year Annual Research Report
タスク貿易と男女格差---教育選択・人的資本蓄積及び家庭内生産の経済成長への含意
Project/Area Number |
22H00844
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 訓嗣 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (20237324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
胡 云芳 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (30379466)
丸山 佐和子 近畿大学, 経済学部, 教授 (90584558)
浅海 達也 桃山学院大学, 経済学部, 講師 (90907726)
稲葉 千尋 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30806063)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | タスク貿易 / 男女格差 / 教育選択 / 人的資本 / 家庭内生産 / 経済成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,理論構築面を(1)タスクの性質,(2)教育選択,(3)共同意思決定,(4)家庭内生産と経済成長,(5)教育投資・能力分布の5つの小テーマに分割して作業し,並行して(6)実証分析面の作業を進めることを予定している。研究2年目の2023年度においては,昨年度に引き続き小テーマ(1)(2)を継続し,新たに(3)を本格始動させるための作業を行った。小テーマ(1)と(4)に関連して,タスク貿易モデルに対して貨幣的要因と経済成長の両方を組み入れるための基礎モデルを構築して分析を行った(出版済み)。ここで得られた知見は次の通り:古典派的な賃金基金説が企業に対するある種の流動性制約(Cash-in-Advance制約)として機能することに着目して国際貿易の基本リカードモデルに金融資本家の役割を導入して動学的に拡張した;金融資産蓄積の動学を考慮しない場合,貿易自由化によって一国が非価値尺度財部門に完全特化すると賃金率と利潤率に対して非対称的な影響が生じ,労働者が損失を被り金融資本家が利益を得るというストルパー=サミュエルソン効果の生じることが示された;これに対して金融資産蓄積の動学を明示的に考慮した場合,貿易自由化後の均斉成長経路(Balanced Growth Path)上では,一国がどの部門に完全特化してもすべての経済主体の経済厚生を同時に改善させること(=パレート改善)および修正された黄金律(Modified Golden Rule)の成立することが示された。小テーマ(4)(5)(6)については,担当者がそれぞれ基礎となる論文を執筆しており,未出版ながら学会・研究会・セミナー等での発表を継続し,多くの研究者からのコメントを得て改良を続けているところである。また,本研究に関連して,1件のカンファレンス,2件のシンポジウムを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定撮りの作業分担にしたがって,理論構築面での小テーマ(1)タスクの性質,(2)教育選択,(3)共同意思決定,(4)家庭内生産と経済成長,(5)教育投資・能力分布の各作業および並行して行われる(6)実証分析面の作業を進めている。(1)+(4)に関しては実績の概要で示したとおり,すでに査読付き国際学術誌に1編の出版実績がある。また(4)(5)(6)については,それぞれ担当者が基礎となる論文を執筆しており,積極的に学会・研究会・セミナーでの発表を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
理論構築面での(1)タスクの性質,(2)教育選択,(3)共同意思決定,(4)家庭内生産と経済成長,(5)教育投資・能力分布の各作業および並行して行われる(6)実証分析面の小テーマごとの作業について,研究計画書に示した作業分担表にしたがって,研究代表者・研究分担者は,日常的には直接会合や電子メールの交換を通じて研究討議を行う。また,1ヶ月に1度程度の研究グループミーティングを実施して,個々の作業の進捗状況を確認して全体の整理を行う。またグループミーティングにグループ外の研究者をインフォーマルな形で招待しプロジェクトに関連する最新の研究成果についての話を伺って意見交換を行う。また,ある程度形のまとまった研究については,海外・国内のセミナー等で報告を行い,多くの外部研究者による批判・コメントを受けて論文の改良に取り組む。
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