2022 Fiscal Year Annual Research Report
演繹・帰納融合型統計モデルによる消費者行動のダークマターの解明
Project/Area Number |
22H00890
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 忠彦 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (40400626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
領家 美奈 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10303348)
石垣 司 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (20469597)
伴 正隆 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (50507754)
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | データ同化 / 階層ベイズモデル / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マーケティング分野の消費者ダークマター解明を狙いとした演繹・帰納融合型統計モデル(データ同化)の開発を目的とする.データ同化は,「演繹(シミュレーション)」と「帰納(データ解析)」の協調作業を担うプラットフォームを提供する,「演繹」と「帰納」の融合を志向するベイズ型の統計モデルである.本研究は5つのステップで進めているが,本年は,ステップ1の観測モデルの構築を中心に研究を進めている.一つ目の研究では,同一説明変数に対する複数の異質な回帰係数を同時に推定可能にする階層ベイズ回帰モデルを提案し,その有効性を明らかにしている.二つ目の研究では,消費者の心理状態の一つである解釈レベルが消費行動に与える影響の実証分析を行っている.大規模消費者パネルデータと消費者アンケートを用いて消費者の解釈レベルと価格反応係数の関係を階層ベイズモデルにより実証的に分析している.三つ目の研究では,製品画像データを用いた製品デザインの審美性評価に関する研究と,ブランドロゴ画像データを用いたロゴの流暢性評価に関する研究を行った.四つ目の研究では,企業や組織のエシカル的な取組み(ラベル表示や健康経営アクション)が,最終消費者や内部顧客である従業員にどのような影響を及ぼすかについての仮説モデルの構築と実証分析を行った.その他,上記4つの研究に加えて,POPに対する消費者の感性評価のメカニズムやカーボンフットプリントラベルに対する消費者の評価構造に関しても,アンケート調査により取得したデータに基づき解析を進めている.上述した研究群は,本研究の一つの柱である消費者行動のメカニズムを表現する帰納型観測モデルであり,来年度以降のモデルの基本となるモデルになる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果として,学術論文3件,著書1件,学会発表等4件を実施している.また,来年度に向けた研究の方針も,本年度の成果を踏まえ構築できている.そのため,本研究プロジェクトはおおむね順調に進められている,と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は5つのステップで研究を進めている.Stesp0では,Step1で取り上げる6つのマーケティング現象の理論的な原理と蓄積された知見の整理を進め,併せて Step1の観測モデル化(データが観測されるメカニズムのモデル化)とStep2におけるシミュレーションモデル化(例えば,観測モデルのパラメータの動的変動の理論的メカニズムのシミュレーションモデル化)の方向性を検討する.Step1は,Step0の検討結果を踏まえて,Step1①「新製品の普及」,Step1②「市場反応」,Step1③「ブランド選択」,Step1④「来店行動」,Step⑤「購買間隔」,Step1⑥「ショッピングバスケット」に内在する「動的変動要因のメカニズム」を明示的に考慮した形式でモデル化する.Step2は,本研究の最大の課題となるステップであり,Step1で構築した観測モデルに内在する「動的変動要因」をStep0の検証結果を踏まえてシミュレーションモデル化する.Step3では,Step2で構成した状態空間モデルを推定するアルゴリズムを構築する.Step4は実証分析のステップである.当該ステップでさらにモデルを改善させ,精度の高い消費者のダークマターの解明につなげる.Step5では,研究の成果を社会還元するために総括し,ソースコードの公開や一般に利用可能なシステム化を行う.また,消費者のダークマターに関する理論化も図る. 次年度は,Step1③およびStep1④のモデル化を進め,併せて、Step1①~Step1④に関してStep2のシミュレーションモデルの構築も行う.
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