2022 Fiscal Year Annual Research Report
店舗内・商圏レベルの買い回りにおける消費者の快楽的消費に関する研究
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22H00892
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 諒 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 准教授 (30823843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 崇宏 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20390586)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 広告効果 / 位置情報 / 非計画購買 / 価格プロモーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、消費者の快楽的な(hedonic)製品の消費に関連する消費者の買い回り行動に関する検証を行うものである。多くのマーケティング研究で扱われる消費の効用的な側面においては、消費者は製品の消費に明確な目的を持っており、情報を探索・処理し、製品の属性を比較し、計画的な購買・消費を行っているとされる。一方で、消費の快楽的な側面にも近年注目が集まっている。快楽的な製品においては、消費者はその消費に明確な目的を持たず、深い情報探索を行うこともなく、よりヒューリスティックで非計画な意思決定を行うとされる。 本研究では、これまで十分な知見が蓄積されていない快楽的な消費について、実験室における実験ではなく、店舗内の買い回り履歴を把握できる店舗内カートや、商圏レベルでの買い回り行動を把握する位置情報などのデータを用いることで、独自性が高く、かつ消費者のリアルな購買状況を反映した研究を行うことができる。令和4年度は、その土台となる研究として、製品カテゴリーレベルでの快楽性指標の確立と、これを利用した店舗内におけるタイムプレッシャー(以下、TPと呼ぶ)と、快楽性指標との関連性に関する研究を行った。TPが生じている状況下では、マーケティング分野で数十年に渡って研究されてきた消費者の製品購買に至る意思決定プロセスがうまく機能しないため、TPの購買行動に与える影響については関心が寄せられており、重要な研究である。 店舗内買い回り行動におけるTPと製品カテゴリーの快楽性の研究については、令和4年度に国内学会にて報告を行った。ここでは、TPがある状況では平均的に快楽度の低い製品を消費者が選択する傾向ことを報告した。この結果は、学術的な知見への貢献に加え、店舗の棚の配置の戦略にも影響するため、実務的な示唆を与える結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初令和4年度に予定していた大規模な消費者調査による快楽性指標に関する調査が既に完了していることに加え、店舗内買い回り行動におけるTPと製品カテゴリーの快楽性の研究についても予備的な研究成果を国内学会ですでに報告を行っている。更に、商圏レベルでの位置情報に基づく消費者の行動に関する研究成果も、国内学会での複数回の報告や、ディスカッションペーパーでの公刊を行っており、今後海外学術雑誌に投稿する予定である。 このように当初の令和4年度の研究計画の内容に加えて、令和5年度以降に行う予定であった研究についても進行しており、その進捗の成果を国内学会やディスカッションペーパーで公表できていることから、当初の計画以上に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、令和4年度に得られた研究成果を基に、単一店舗内での消費者のタイムプレッシャー(以下、TPと呼ぶ)と快楽的製品・非計画購買に関する研究や、この点に関する商圏レベルでの買い回り行動に関する研究を行う予定である。近年、TPが消費者の購買行動に与える影響については、多くの関心が寄せられている。これは、マーケティング分野で数十年に渡って研究されてきた消費者の製品購買に至る意思決定プロセスが、TPがある状況下では情報処理能力が限られるために、うまく機能しないと考えられるためである。 また、消費者の店舗内や商圏レベルでの買い回り行動に関して、時間的制約としてTPが生じ、意思決定への情報処理能力が限られる状況における、消費者の購買行動と快楽的消費との関連性について検証する。 これらの研究の遂行には、消費者の単一店舗内での導線に関するデータや、商圏レベルでの行動履歴データが必要であるが、これらのデータは既に使用の許諾を得て利用を開始している。 令和5年度、6年度はこれらの研究の実施と、論文の作成、海外学術雑誌への投稿を中心に行う予定である。上記に述べている研究の一部の予備的な研究成果は、令和4年度に国内学会にてすでに報告済みであり、令和5年度はこの成果のブラッシュアップののち、海外学会での報告を行いたいと考えている。ここで得られた知見を基に、海外査読付き学術雑誌に論文の投稿を行い、研究成果の掲載を目指す。
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Research Products
(2 results)