2022 Fiscal Year Annual Research Report
多様化する地域社会の存続にコミュニティ・キャピタルが与える影響に関する研究
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22H00908
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
吉野 英岐 岩手県立大学, 総合政策学部, 教授 (90305318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舩戸 修一 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (00466814)
土居 洋平 跡見学園女子大学, 観光コミュニティ学部, 准教授 (00522559)
二階堂 裕子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (30382005)
大矢根 淳 専修大学, 人間科学部, 教授 (80281319)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | コミュニティ・キャピタル / 地域社会 / 持続可能性 / 多様化 / 共同性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1年目にあたる令和4年度は、本研究の主題である多様化する地域社会におけるコミュニティ・キャピタルのあり方と地域社会の存続への影響をみるために、研究枠組みの共有化、キー概念の検討、既存研究の整理、現地調査の結果についての討議を行う研究会を4回、予備的な調査である現地調査を3回実施した。 研究会としては、2022年6月5日に跡見学園女子大学文京キャンパスで第1回研究会を開催し、大矢根淳、土居洋平、二階堂裕子、吉野英岐が出席した。そこでは研究概要と申請内容の説明、研究代表者および分担者のこれまでの研究状況と本研究の関連性を確認した。次いで、8月29日にノートルダム清心女子大学で第2回研究会を実施し、大矢根淳、土居洋平、二階堂裕子の3名が現地参加し、吉野はリモートで参加した。研究会では第1回現地調査に関連する情報共有を行った。次いで、2023年1月13日(金)に専修大学神田校舎で第3回研究会を開催し、大矢根淳、土居洋平、吉野英岐が参加した。ここでは静岡県・愛知県で実施した第2回現地調査の結果の共有と既存研究との関連性を討議した。最後に3月20日に専修大学神田校舎で第4回研究会を開催し、大矢根淳、二階堂裕子、舩戸修一、吉野英岐が参加した。内容は研究枠組みの確認と第2回現地調査で得た知見と論点の整理であった。 現地調査は設定した4つの地域社会類型のうち、B=職住分離地域として東京都文京区(第3回現地調査・2023年3月実施)、C=移住者居住地として岡山県高梁市(第1回現地調査:2022年8月実施)と静岡県浜松市(第2回現地調査:12月実施)、D=高齢過疎地域として愛知県豊根村(第2回現地調査:同上)を対象に、合計3回実施した。現地調査からそれぞれの地域が保持しているコミュニティ・キャピタルと地域課題が明らかになり、多様な視点から状況を把握し、結果を分析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である令和4年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が残っていたが、4回の研究会と3回の現地調査を実施することができた。研究計画では、4つの地域類型と類型ごとに2つの下位カテゴリーを想定し、合計で8つのサブ類型を設定している。令和4年度はそのうち3つの類型と3つのサブカテゴリーにあたる地域社会を調査することができた。具体的には、B=職住分離地域・都市近郊地域のうち、東京都心の職住分離地域にあたる東京都文京区、C=外国人集住地・移住者居住地のうち、移住者地域にあたる岡山県高梁市、愛知県豊根村、静岡県浜松市、D=高齢過疎地域・郊外住宅地域のうち、高齢過疎地域にあたる岡山県高梁市と愛知県豊根村を訪問することができた。 現地調査では毎回、複数の研究メンバーが参加して、同一の事例に接することができた。さらに研究会でそれらの調査結果の共有化と結果の解釈にむけた討議を行うことができた。また、現地調査では本研究のキー概念であるコミュニティ・キャピタルの多様な発現形態を確認することができた。さらに、地域社会の領域や成員およびライフスタイルが多様化している状況と、それぞれの地域社会がこれまで発展や変動の歴史的な経過のうえに現在の状況が存在していることをヒアリング調査のなかから明らかにすることができた。以上のことから研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、研究2年目にあたる令和5年度では研究枠組みへの共通理解の深化と共有化を進め、現地調査の継続的な実施を目指す。研究会では研究初年度の現地調査の結果を整理し、それぞれの事例地の特徴と課題を明確にして、研究枠組みにおける事例の位置づけとコミュニティ・キャピタルのあり方を討議し、研究3年度目に予定している配票調査を含む本調査の実施に向けた情報の整理を行う。 現地調査としては、研究初年度の令和4年度に実施できなかったA=東日本大震災災害復興地域のサブカテゴリーにあたる岩手県沿岸被災地域および宮城県牡鹿半島地域での現地調査を実施していく。さらに、B=職住分離地域・都市近郊地域のうちの都市近郊地域、C=外国人集住地・移住者居住地のうちの岡山県の外国人集住地域、静岡県および山形県の移住者居住地、D=高齢過疎地域・郊外住宅地域のうちの静岡県山間地域などでの現地調査も実施していく。 以上のような事例の整理と予備的な現地調査の結果について、研究2年度目の研究会では、研究全体での事例の位置づけと解釈を行い、3年度目以降の研究の展開につながるような準備を行う。あわせて統計や既存の学術調査の結果から、各事例対象地のこれまでの住民構成、地理的区画、コミュニティ・キャピタル(有形共有・共用資源、ソーシャル・キャピタル、共同行為・協調行動)の布置状況や発現形態を明らかにし、それぞれの事例の特徴を把握し、その社会的背景と要因を分析する。そのうえで、地域コミュニティの特性と事例地の持続可性の関連性を明らかにする。 これらの研究成果については、研究代表者および分担者が所属する学会の大会や研究例会等で、随時報告を行う。
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Remarks |
みやぎボイス連絡協議会編、みやぎボイス連絡協議会、東日本大震災復興シンポジウムみやぎボイス2022-災害が日常になった今-、2022年、総ページ数152(シンポジウムでの吉野の報告を収録)
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Research Products
(15 results)